The previous night of the world revolution
…成程。
一目でそれと分かる、威風堂々たる姿だ。
街を普通に歩いていたら、近所のお姉さんにしか見えないような、この人が。
帝国騎士団を長年悩ませる、非合法組織『青薔薇連合会』の長。
「お帰りなさい、ルルシー。そして…初めまして。ルシファー」
「お目にかかれて光栄です、アシュトーリア・ヴァルレンシー様。お互い因縁浅からぬ身ではありますが…こうして会えたのも何かの運命なのでしょうね」
それと。気になることがもう一つ。
「出来ることなら私のことは、ルレイアとお呼び頂けると嬉しいのですが」
「あぁ、そうだったわね。ルレイア」
くす、と彼女は嬉しそうに笑った。
本当に。街で会えばただの優しいお姉さんだ。
後ろで物騒なものを持って護衛している黒服が異様に見えるほどに。
「ごめんなさいね、こんな非礼をして。来なくて良いって言うのに、元帝国騎士団の人間なんて信用出来ない、って聞かなくて…」
アシュトーリアさんは黒服達を振り向いて、申し訳なさそうに言った。
「気にしていませんよ。理解していますから。私があなたの首を獲って、それを手土産として騎士団に持ち帰る可能性もありますからね」
にこやかに言うと、後ろの黒服達から爆発的な殺気が膨れ上がった。
だが、こんな三下は、恐れるに足りない。
もし俺が今、この女の首を獲れば、どうなるか。
それを引き換えに、騎士団に戻せと言えばどうなるか。
俺は存分に名誉を回復出来るどころか、オルタンスさえ顎で使えるようになるのだろうが。
勿論、そんな気は微塵もなかった。
何で今更、あいつらに尻尾を振らなければならない?
「楽しい冗談を言うのね、ルレイア。ルルシーから話は聞いていたけど、確かにあなたは面白いわ」
暗にお前を殺すかもしれないと言われたのに、アシュトーリアさんは相変わらず、楽しげに笑っていた。
その程度でびびるなら、マフィアのボスなんてやってらないよな。
「あぁ、それと…最初にお礼を言わなきゃならなかったんだわ。ルルシーのこと、助けてくれてありがとうね。私の可愛い息子を救ってくれたこと、心から感謝するわ」
ルルシーを助けた、と言うと…。彼のスパイ容疑を晴らした件のことか。
「礼には及びません。彼を失いたくなかったのは、俺も同じですから」
それに、と俺は続けた。
「感謝しているのは私の方です。あんな廃人のようになった私を…捨てずに拾ってくれたのですから」
騎士団に捨てられた俺を拾ってくれたのは、正しくはルルシーなのだが。
彼女が許可しなければ、それは叶わなかっただろう。
「ルルシーの恩人で、そして大事なお友達なんだもの。当然だわ」
アシュトーリアさんはにこりと笑って、俺を見透かすかのようにじっと見つめた。
「…さて、それじゃあそろそろ本題に入りましょうか」
先程までの優しいお姉さんは、突如として姿を消し。
闇の世界に君臨する、黒い女王の眼差しが俺を貫いた。
一目でそれと分かる、威風堂々たる姿だ。
街を普通に歩いていたら、近所のお姉さんにしか見えないような、この人が。
帝国騎士団を長年悩ませる、非合法組織『青薔薇連合会』の長。
「お帰りなさい、ルルシー。そして…初めまして。ルシファー」
「お目にかかれて光栄です、アシュトーリア・ヴァルレンシー様。お互い因縁浅からぬ身ではありますが…こうして会えたのも何かの運命なのでしょうね」
それと。気になることがもう一つ。
「出来ることなら私のことは、ルレイアとお呼び頂けると嬉しいのですが」
「あぁ、そうだったわね。ルレイア」
くす、と彼女は嬉しそうに笑った。
本当に。街で会えばただの優しいお姉さんだ。
後ろで物騒なものを持って護衛している黒服が異様に見えるほどに。
「ごめんなさいね、こんな非礼をして。来なくて良いって言うのに、元帝国騎士団の人間なんて信用出来ない、って聞かなくて…」
アシュトーリアさんは黒服達を振り向いて、申し訳なさそうに言った。
「気にしていませんよ。理解していますから。私があなたの首を獲って、それを手土産として騎士団に持ち帰る可能性もありますからね」
にこやかに言うと、後ろの黒服達から爆発的な殺気が膨れ上がった。
だが、こんな三下は、恐れるに足りない。
もし俺が今、この女の首を獲れば、どうなるか。
それを引き換えに、騎士団に戻せと言えばどうなるか。
俺は存分に名誉を回復出来るどころか、オルタンスさえ顎で使えるようになるのだろうが。
勿論、そんな気は微塵もなかった。
何で今更、あいつらに尻尾を振らなければならない?
「楽しい冗談を言うのね、ルレイア。ルルシーから話は聞いていたけど、確かにあなたは面白いわ」
暗にお前を殺すかもしれないと言われたのに、アシュトーリアさんは相変わらず、楽しげに笑っていた。
その程度でびびるなら、マフィアのボスなんてやってらないよな。
「あぁ、それと…最初にお礼を言わなきゃならなかったんだわ。ルルシーのこと、助けてくれてありがとうね。私の可愛い息子を救ってくれたこと、心から感謝するわ」
ルルシーを助けた、と言うと…。彼のスパイ容疑を晴らした件のことか。
「礼には及びません。彼を失いたくなかったのは、俺も同じですから」
それに、と俺は続けた。
「感謝しているのは私の方です。あんな廃人のようになった私を…捨てずに拾ってくれたのですから」
騎士団に捨てられた俺を拾ってくれたのは、正しくはルルシーなのだが。
彼女が許可しなければ、それは叶わなかっただろう。
「ルルシーの恩人で、そして大事なお友達なんだもの。当然だわ」
アシュトーリアさんはにこりと笑って、俺を見透かすかのようにじっと見つめた。
「…さて、それじゃあそろそろ本題に入りましょうか」
先程までの優しいお姉さんは、突如として姿を消し。
闇の世界に君臨する、黒い女王の眼差しが俺を貫いた。