The previous night of the world revolution
アイズに言われた通り、俺は一旦シャワーを浴びてから、アシュトーリアさんのもとを訪ねた。

「あら、ルレイア…。あなた『事後』ね?」

ちゃんとシャワー浴びたっていうのに、第一声がこれである。

俺はどうしたら良いのか。

「やっぱり分かりますか」

「すぐに分かるわ。ということは…上手く行ったのね」

「はい」

今回の作戦については、アシュトーリアさんも承知の上である。

「帝国騎士団の人間は身持ちが堅いのかと思っていたけど、意外とそうでもないのね」

「まぁ、俺もこんなですからねぇ。帝国騎士団にも色んな人間がいますよ」

元帝国騎士がこんな有り様だもんな。帝国騎士団にいるからって、全員が全員モラルを遵守している訳ではない。

そういやアドルファスも風俗に出入りしてるらしいし?

散々俺のことを童貞だと馬鹿にしてくれたけど、今なら余裕で勝てる気がする。

「それで?情報は聞き出せたの?」

「はい」

「終わった後、殺したの?」

「いえ。今後も利用出来そうなので、生かしておきました」

「あら。本当に上手くやったのね」

俺もここまで上手く行くとは思っていなかった。

本当は終わった後殺す予定だったのだ。帝国騎士団に帰ってから、余計なことを喋られても困るから。

死人に口なしって奴だ。

でもあの様子なら俺を売ることはないだろうし、今後も利用出来る。

適度に飴を与えてやれば、大いに役立ってくれることだろう。

「しかも、俺が落としたのは六番隊の分隊長だそうですから、それなりに情報は持っていることかと」

「さすがルレイア。文句なしだわね」

この朗報に、アシュトーリアさんも嬉しそうであった。

リーフリルはあくまであちら側の人間だから、俺に心酔しているとはいえ、アシュトーリアさんが自由に動かすのは難しいが。

それでも、間接的にスパイになってくれる人材があり、しかも経費もかからないとなれば、こちらにとっては都合が良い。

得難い人材である。

「今夜は祝杯をあげなくちゃ。『RHC』のことは任せてちょうだい」

「はい。宜しくお願いします」

リーフリルから得た情報を全て話し、俺はアシュトーリアさんの執務室を後にした。
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