The previous night of the world revolution

sideルルシー

ーーーーー…ルレイアとカラオケ屋に行くと、店員はぎょっとしたように俺達を見た。

予約してた者ですが~、とルレイアが言うと、8号室にどうぞ…と、軽く震え声で言われた。

「何であの人、あんな怯えた目で俺達を見るんだと思います?」

「俺達じゃない。お前のせいだ」

その格好を見てみろ。変質者だと通報されないだけ有り難いと思え。

俺はごく普通の、至ってシンプルな服を着てきたというのに。

こいつがこんなコスプレじみた格好をしているせいで、俺は何処に行っても怪しい人間だ思われてしまう。

怪しいのは俺ではなく、ルレイアだ。そこを履き違えないでもらいたいところだ。

とはいえ、その格好は、帝国騎士団のあの白い制服よりは、ずっとルレイアに似合ってる。

何より、今の方がずっと、彼は生き生きしている。

帝国騎士だったときよりも。病院のベッドの上にいた頃よりも。遥かに。

だから、俺はそれで満足なのだ。

親友の幸せを願わない人間がいるだろうか。

彼が幸せなら、俺はそれで良い。ルレイアが幸せなら、俺も幸せだ。

今の方が好きだと言った、あの言葉は嘘ではない。

ルレイアがかつての姿をなくしてしまったのは、少し寂しくはあるけど…。立場上彼と対立しなくて良くなったのが、俺は嬉しい。

会いたいときに、いつでも会えることも。

こうして人目を憚らずにカラオケに来れることも。

それ以上に望むことが、俺にあるだろうか。
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