The previous night of the world revolution

しかし、数週間後。

「ルールシーさーん」

「うん？」

「今日の夕飯何ですか？」

「…」

いつものように、書類仕事中のルルシーのもとを訪れると。

ルルシーはペンを置き、肘をついた。

「…集りに来るのは決定なのか？」

「俺的にはお魚食べたいなぁ」

「またか。あと、少しは遠慮しろ」

「だってルルシーのご飯美味しいんだもん」

「だもん、じゃない」

自分で作れないということはない。レシピと材料があれば、それなりに食べられるものは作れる。

作れるけれども、やはりルルシーのご飯に勝るものはないのだ。

取引先との会食で食べる高級レストランの味とはまた違う。毎日食べても飽きない、家庭的な美味しさがそこにあるのだ。

「…まぁ、別に良いけど。今日は肉にするぞ」

「えー」

「えーじゃない。お前はもう少し太った方が良いんだ」

何だかんだ言いつつも、やっぱり今日も作ってくれるらしい。

ありがたや、ルルシー。

肉料理ということだが、何作ってくれるのかな。楽しみだ。

「…そういえばルレイア、お前最近…ハリネズミ育ててるらしいな？」

「？誰に聞いたんですか？」

「噂になってるぞ。幹部二人がハリネズミを拾ってきたって」

噂好きが多いもんだなぁ。

個人的には自分のについての噂が組織に蔓延るのは好みではないから、今度俺の噂を流した者は舌を抜こう。

「シュノさんの死んだ部下の、忘れ形見だそうで」

「それを、何でお前が？」

「頼まれたんですよ、シュノさんに。自分一人じゃ出来そうにないって」

「ふーん…」

何。ルルシーの、その怪訝そうな顔。

「何か気になります？」

「いや…。何だかお前、シュノと…」

ルルシーがそこまで言いかけた、そのときである。

どんどんどん、と廊下を走ってくる音がした。

俺とルルシーは、何事かあったのかと咄嗟に身構えたが。

ばーん、ルルシーの執務室の扉が開き、中に飛び込んできた人物に、俺達は目を見開いた。

「ルレイア！ルレイア、大変なの！」

「へ…？シュノさん…？」

飛び込んできたのは、半泣きになったシュノさんであった。