The previous night of the world revolution
「ど、どうしたんですか?」

「ルレイア…。ルクレツィアが、ルクレツィアが変なの」

「ルクレツィアが…?」

ルクレツィアか変、とはどういうことだ。

「…ルクレツィアって誰だ?」

そもそもハリネズミの名前を知らないルルシー。どうやら、名前までは噂になっていなかったようだ。

「ハリネズミちゃんの名前ですよ」

「そんな名前なのか?命名は誰だ」

「俺です」

「…凄い名前だな…」

それよりも。

「ルクレツィア、どうしたんですか?」

「針に…針にかさぶたみたいなのが出来てるの」

シュノさんは泣きそうな顔でそう訴えた。

針にかさぶた…!?

「そんな病気があるんですか?」

「ちょっと待て。検索する」

ルルシーはさっさとノートパソコンを開いて、かたかたキーボードを打った。

「エサも食べないの。どうしよう。ルクレツィア死んじゃうのかな?」

「落ち着いてください、シュノさん。ハリネズミとはいえ、そう簡単には死にませんよ」

半ばパニックになっているシュノさんを、俺は宥めるようにそう言った。

ルクレツィアを飼うようになってから、ハリネズミの病気についても少し調べてみたが…。針にかさぶた、ということは…。

「多分、皮膚病だろうな」

「俺もそう思います」

ハリネズミの病気についてのサイトを見ながら、ルルシーが言った。

ハリネズミに多い病気の一つだそうだ。

「大丈夫なの?それ、ルクレツィア死んじゃうの?」

「病院に連れていけば大丈夫ですよ」

「ハリネズミなんて、病院で看てくれるの?」

それは大いに疑問ではあるが。

「心配するな。割と近くにある。俺の名前で脅しとくから一番に看てもらえるぞ」

頼もしい限りのルルシーである。

マフィアの権力を濫用するのは良くないと思うが、こちらも緊急事態なので許して欲しい。

「行きましょう、ルクレツィアを連れて」

「うん…うん!」

俺はシュノさんと共に、ルクレツィアを連れて、ルルシーが手配してくれた病院に向かった。
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