The previous night of the world revolution
…結果。

ルルシーが一体どんな脅し方をしたのか、動物病院の医者達は半ば震えながら、スタッフ総出で俺達を迎えてくれた。

この子をお願いします、とルクレツィアを手渡すと、適切な処置をしてくれた。

俺の予想通り皮膚病で、これからも日を開けて何度か薬を使う必要があるけど、それをちゃんと行えば大丈夫、とのことであった。

ひとまず安心である。

シュノさんも、ほっと胸を撫で下ろしていた。




「ルーちゃん。良かった。元気になって良かったね」

動物病院からの帰りの車中(エリュシアに送迎を頼んだ)、シュノさんは嬉しそうにルクレツィアのケージに話しかけていた。

ルーちゃん…。何とも素晴らしい呼び名ではないか。

俺もそう呼ぼうか。

あと、厳密にはまだ元気になってはいない。

とにかく病気が何なのか分かって、治療法もしっかり分かっているのなら、一安心だ。

「随分気に入りましたね、シュノさん。ルーちゃんさんのこと」

「うん…。可愛い」

確かに。癒し系ではあるな。

ハリネズミってあまりペットにする生き物ではないと思っていたのだけど。

いざ飼ってみると、皆こんなに可愛いのに何で飼わないの?とさえ思えてくるほどには、愛しい。

「ルーちゃんがもっと私に慣れたら、名前を呼んだだけで来てくれるかな」

「あぁ、慣れてくれるみたいですよ。この子達嗅覚に敏感なんで、飼い主の匂いを覚えてくれるとか」

「匂い?」

「えぇ、匂い」

あ、じゃああれか。俺のオリエンタルな香水の匂いを、ルーさんは覚えてくれるのかな。

匂い強過ぎるかな。香水の匂い、もう少し薄くしようか。

「お腹もふもふしても怒らないかな」

「慣れたらもふもふしても大丈夫でしょうね」

「へぇー…。楽しみだなぁ」

そうなるまでには、もうしばらくかかるとは思うけど…。

…そうなる日が、楽しみだなぁ。
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