The previous night of the world revolution
「…最近お前、シュノと仲良いよな」

「…ほぇ?」

遊びに行ったルルシーの執務室で、不意にそんなことを言われた俺は、思わずきょとんとした。

「仲良いですかね?」

「仲良いだろ。噂になってるぞ。あのシュノと渡り合える人がいるとは、って」

また噂か。その噂、流した奴連れてきてくれ。舌を抜くから。

まさかルルシーではなかろうな?

「あのシュノ、って…。シュノさん良い人ですよ?ただ不器用なだけで」

彼女の難点は、そこだけだ。

手先が不器用。あとセンスが壊滅的。それだけだ。

あとは普通に良い人なのだから、そこまで敬遠することはないと思うが。

「お前が、性的な関係なしで女と普通に付き合えるとは思わなかったぞ」

「ひどーい。ルルシーは俺を何だと思ってるんですか?」

そんな、根っからの女たらしみたいな。

俺だってついこの間までは、可愛いチェリーボーイだったんだからな?

「シュノが男相手に、あんなに楽しそうに笑うとは思わなかった」

「…?」

「アシュトーリアさん相手ならともかく…。あいつは、男が嫌いだそうだからな」

「…そうなんですか?」

その情報は、初めて聞いた。

シュノさん、男性が苦手なのか。

そういえば出会った頃は、結構敵愾心剥き出しだったっけ。

でもあれは、俺が元帝国騎士だったからだと思っていたのだが…。

「俺も深くは聞いてないけど…。シュノは昔色々あって、男が嫌いなんだと。だから『連合会』にいても、俺やアイズには冷たいだろ。でもお前は例外らしいな」

「…」

「シュノがあんな顔するとは思わなかった。お前には、彼女の心を溶かす何かがあるんだろうな」

…そうなのかねぇ。

まぁ、それなりに女の扱いには長けている自信はあるが。

でもルルシーの言う通り、俺の『女の扱い』はほぼ性的な関係込みの話であって。

普通に、友人として付き合うのはどうだろうか。

元々、女性と付き合うことはなかったからな。

唯一付き合いがあったのは姉だが…。その姉とも、毎日顔を合わせていた訳でもなく。

「…シュノさんは普通に良い人ですよ。ルルシーも喋ってみると良いですよ」

「そうだな。今度話してみようか」

皆、ちゃんと知らないだけで。

シュノさんは、普通の可愛い女の子である。

俺に言わせてみれば、姉や帝国騎士団の女達と比べれば、シュノさんは余程素直で無邪気で、付き合いやすい。
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