The previous night of the world revolution
帝国騎士団との話し合いの場を設けたアシュトーリアさんは、俺とルルシーをわざわざ呼びつけた。
「…あなた達にとっては因縁のある相手だと分かってるから、気が進まないなら来なくて良いのよ」
心配そうな顔で、彼女はそう言った。
俺とルルシーが…特に俺が、帝国騎士団には会いたくないのではないかと、そう思ったようだった。
確かに俺達にとっては、因縁のある相手だ。
何せ、古巣なのだから。
しかし。
「…俺は構いません。元々俺はスパイとして潜入していただけで、帝国騎士団にはさしたる思い入れもありませんし…。最初から、ルレイア以外の騎士とは、割り切って付き合ってましたから」
ルルシーはきっぱりとそう言った。
帝国騎士団側が誰を話し合いの場に出してくるかは分からない。オルタンスは確実だと思うけど、それ以外の人間はどうか。
オルタンスだけということはないだろう。他の隊長を数名…全員ではなくとも、出してくるだろう。
となると、彼の元上司である八番隊隊長のウィルヘルミナが出てくる可能性も勿論ある。
お互い顔を知っている相手と会うのは気まずいだろうな。
でも、ルルシー以上に。
「…ルレイアはどう?やめておく?」
「…」
俺は…確実にかつての顔見知りと会うことになるだろうなぁ。
「嫌なら、そう言ってくれて構わないのよ。あなたを傷つけてまで連れていくつもりはないから…。それに、うちも幹部全員で行くつもりはないの。全員で留守にする訳にもいかないから、一人は残していく予定なの」
だからもし俺が嫌なら、残って留守番していれば良い。
アシュトーリアさんは本気で俺を心配しているようだった。
俺がもし、嫌です、と言えば彼女は快く了承し、俺以外の幹部を伴って行くだろう。
別にそのことで俺を弱腰だの、臆病だの罵るつもりもないだろう。
彼女は俺が帝国騎士団から裏切られた後、精神を病んで今も服薬を続けていることを知っている。
それだけ帝国騎士団は、俺にとって並々ならぬ因縁がある組織なのだ。
…どうしようかと、俺は思った。
行かないと言えば、確かに行かなくて良いんだろうなぁ。
…でも、俺の心は決まっていた。
「…行きます」
「ルレイア…」
「行きますよ。何で行かないんですか?壮健な俺の姿を見てオルタンスがどんな顔をするか、他の隊長連がどんな顔をするか、ぞくぞくするほど楽しみじゃないですか」
想像しただけで愉快じゃないか。こんな絶好の機会を、どうして自らふいに出来ようものか。
「…本当に良いの?」
「えぇ、勿論」
連れていかないと言われても無理矢理ついていきたいくらいだ。
「…分かったわ。じゃあ、留守番はシュノに頼みましょう。準備をしておいて」
「はい」
シュノさんには悪いが、留守番とルーさんの世話は彼女に任せよう。
「…それとルレイア。本当に、無理はしなくて良いからね。やっぱり嫌になったら、遠慮なくそう言ってちょうだい」
「分かりました。お心遣い、感謝します」
笑顔でそう答えたものの、俺は撤回するつもりは毛ほどもなかった。
「…あなた達にとっては因縁のある相手だと分かってるから、気が進まないなら来なくて良いのよ」
心配そうな顔で、彼女はそう言った。
俺とルルシーが…特に俺が、帝国騎士団には会いたくないのではないかと、そう思ったようだった。
確かに俺達にとっては、因縁のある相手だ。
何せ、古巣なのだから。
しかし。
「…俺は構いません。元々俺はスパイとして潜入していただけで、帝国騎士団にはさしたる思い入れもありませんし…。最初から、ルレイア以外の騎士とは、割り切って付き合ってましたから」
ルルシーはきっぱりとそう言った。
帝国騎士団側が誰を話し合いの場に出してくるかは分からない。オルタンスは確実だと思うけど、それ以外の人間はどうか。
オルタンスだけということはないだろう。他の隊長を数名…全員ではなくとも、出してくるだろう。
となると、彼の元上司である八番隊隊長のウィルヘルミナが出てくる可能性も勿論ある。
お互い顔を知っている相手と会うのは気まずいだろうな。
でも、ルルシー以上に。
「…ルレイアはどう?やめておく?」
「…」
俺は…確実にかつての顔見知りと会うことになるだろうなぁ。
「嫌なら、そう言ってくれて構わないのよ。あなたを傷つけてまで連れていくつもりはないから…。それに、うちも幹部全員で行くつもりはないの。全員で留守にする訳にもいかないから、一人は残していく予定なの」
だからもし俺が嫌なら、残って留守番していれば良い。
アシュトーリアさんは本気で俺を心配しているようだった。
俺がもし、嫌です、と言えば彼女は快く了承し、俺以外の幹部を伴って行くだろう。
別にそのことで俺を弱腰だの、臆病だの罵るつもりもないだろう。
彼女は俺が帝国騎士団から裏切られた後、精神を病んで今も服薬を続けていることを知っている。
それだけ帝国騎士団は、俺にとって並々ならぬ因縁がある組織なのだ。
…どうしようかと、俺は思った。
行かないと言えば、確かに行かなくて良いんだろうなぁ。
…でも、俺の心は決まっていた。
「…行きます」
「ルレイア…」
「行きますよ。何で行かないんですか?壮健な俺の姿を見てオルタンスがどんな顔をするか、他の隊長連がどんな顔をするか、ぞくぞくするほど楽しみじゃないですか」
想像しただけで愉快じゃないか。こんな絶好の機会を、どうして自らふいに出来ようものか。
「…本当に良いの?」
「えぇ、勿論」
連れていかないと言われても無理矢理ついていきたいくらいだ。
「…分かったわ。じゃあ、留守番はシュノに頼みましょう。準備をしておいて」
「はい」
シュノさんには悪いが、留守番とルーさんの世話は彼女に任せよう。
「…それとルレイア。本当に、無理はしなくて良いからね。やっぱり嫌になったら、遠慮なくそう言ってちょうだい」
「分かりました。お心遣い、感謝します」
笑顔でそう答えたものの、俺は撤回するつもりは毛ほどもなかった。