The previous night of the world revolution
久々に、オルタンスの姿を見た。
彼は俺に気づいたのか気づいていないのか、ちらりと俺を見て目を細めたから、多分気づいていたのだろうけど。
お前元八番隊だろ、スパイだったんだな、とは言われなかった。
まぁ、今更知ったところで…どうすることも出来ないから。
指摘されたとしても、何のこと?としらばっくれれば良いだけだ。
何より今日の本題は、そこではない。
そうそうたるメンバーが会場に揃い、顔を合わせ。
挨拶もそこそこに、まず帝国騎士団側の謝罪から始まった。
「この度の、『厭世の孤塔』を巡る一件…。こちらの不始末で『青薔薇連合会』の方に多大な迷惑をかけたこと、慙愧の念に堪えません。心からお詫び致します」
こちらが、少し拍子抜けするほどに。
オルタンスは、淡々と頭を下げて見せた。
…この男に頭を下げられると、どうにも調子が狂うと言うか…むず痒いような。
ここまで綺麗に謝られると、責める気が起きなくなってくる。
これも帝国騎士団側の策略なのだろうか?非の打ち所のない謝罪を先に持ってきて、最大限誠意を示し、こちらに攻撃しにくくさせる。
どうやらオルタンスは、出来る限り『青薔薇連合会』と揉め事を起こしたくはないようだ。穏便に事を済ませたいという意志が伝わってきた。
成程、オルタンスらしいな。
現状、『青薔薇連合会』と対立して得られる利益より、対立しないで得られる利益の方が大きいと。そう判断した訳だ。
ただ、他の隊長達がどう思っているのかは分からなかった。
今日参加している騎士団側のメンバーは、団長のオルタンス隊長以下。
三番隊のアドルファス、恐らくルレイアの後を引き継いで四番隊に戻ったアストラエア、五番隊のリーヴァ、そして二番隊隊長で副団長のルシェ。この五人だった。
こちらが五人で行くと言ったから、向こうと合わせてきたのだろう。
帝国騎士団のトップ5が直々に出てくる。これはますます、俺達と敵対したくないらしい。
見せられるだけの誠意は見せるというスタンスなようだ。
リーヴァ辺りは、波風を立てたくないというオルタンスと同意見なのだろうが…。
アストラエアなんかは、マフィアに頭を下げるなど屈辱の極みだろうな。
それでも彼も、憮然としながらも頭を下げた。逆らうべきでない相手であると、分かっているのであろう。
賢明なことだ。これでみっともなく言い訳をしたり、自分達は悪くないと開き直ってくれれば、こちらも公然と潰しにかかれるのだが。
その点、オルタンスはやはりやりにくい。
…それにしても、やはりルシェが出てきたか。
予想はしていたけれど…。ルレイアにとっては、しんどい相手だな。
…いや。恐らくルレイアにとってはもう…ルシェは、彼の心を揺らす何者にもなれないのだろう。
「…ところで、五人でと聞いていたのですが…もう一方は?」
丁寧な謝罪の後で、オルタンスは訝しげにそう尋ねた。
…そりゃ当然の疑問だよなぁ。
まさか一人おふざけで遅刻ですとも言えず。
「ちょっと遅れてくるそうなの。会合は続けてもらって構わないわ」
「…そうですか」
アシュトーリアさんが朗らかに答え、オルタンスは相変わらず淡々と、本題に入った。
彼は俺に気づいたのか気づいていないのか、ちらりと俺を見て目を細めたから、多分気づいていたのだろうけど。
お前元八番隊だろ、スパイだったんだな、とは言われなかった。
まぁ、今更知ったところで…どうすることも出来ないから。
指摘されたとしても、何のこと?としらばっくれれば良いだけだ。
何より今日の本題は、そこではない。
そうそうたるメンバーが会場に揃い、顔を合わせ。
挨拶もそこそこに、まず帝国騎士団側の謝罪から始まった。
「この度の、『厭世の孤塔』を巡る一件…。こちらの不始末で『青薔薇連合会』の方に多大な迷惑をかけたこと、慙愧の念に堪えません。心からお詫び致します」
こちらが、少し拍子抜けするほどに。
オルタンスは、淡々と頭を下げて見せた。
…この男に頭を下げられると、どうにも調子が狂うと言うか…むず痒いような。
ここまで綺麗に謝られると、責める気が起きなくなってくる。
これも帝国騎士団側の策略なのだろうか?非の打ち所のない謝罪を先に持ってきて、最大限誠意を示し、こちらに攻撃しにくくさせる。
どうやらオルタンスは、出来る限り『青薔薇連合会』と揉め事を起こしたくはないようだ。穏便に事を済ませたいという意志が伝わってきた。
成程、オルタンスらしいな。
現状、『青薔薇連合会』と対立して得られる利益より、対立しないで得られる利益の方が大きいと。そう判断した訳だ。
ただ、他の隊長達がどう思っているのかは分からなかった。
今日参加している騎士団側のメンバーは、団長のオルタンス隊長以下。
三番隊のアドルファス、恐らくルレイアの後を引き継いで四番隊に戻ったアストラエア、五番隊のリーヴァ、そして二番隊隊長で副団長のルシェ。この五人だった。
こちらが五人で行くと言ったから、向こうと合わせてきたのだろう。
帝国騎士団のトップ5が直々に出てくる。これはますます、俺達と敵対したくないらしい。
見せられるだけの誠意は見せるというスタンスなようだ。
リーヴァ辺りは、波風を立てたくないというオルタンスと同意見なのだろうが…。
アストラエアなんかは、マフィアに頭を下げるなど屈辱の極みだろうな。
それでも彼も、憮然としながらも頭を下げた。逆らうべきでない相手であると、分かっているのであろう。
賢明なことだ。これでみっともなく言い訳をしたり、自分達は悪くないと開き直ってくれれば、こちらも公然と潰しにかかれるのだが。
その点、オルタンスはやはりやりにくい。
…それにしても、やはりルシェが出てきたか。
予想はしていたけれど…。ルレイアにとっては、しんどい相手だな。
…いや。恐らくルレイアにとってはもう…ルシェは、彼の心を揺らす何者にもなれないのだろう。
「…ところで、五人でと聞いていたのですが…もう一方は?」
丁寧な謝罪の後で、オルタンスは訝しげにそう尋ねた。
…そりゃ当然の疑問だよなぁ。
まさか一人おふざけで遅刻ですとも言えず。
「ちょっと遅れてくるそうなの。会合は続けてもらって構わないわ」
「…そうですか」
アシュトーリアさんが朗らかに答え、オルタンスは相変わらず淡々と、本題に入った。