The previous night of the world revolution
「うふふ、そうでしょう?綺麗でしょう?」

どや顔でアリューシャに爪を見せびらかすルレイア。

確かに綺麗ではあるけども。今やることじゃないだろ。

「えぇな~。かっけぇ」

「アリューシャの爪も素敵じゃないですか」

「アリューシャの爪はジェルなんだよね~」

「あ、ジェルなんですか~。俺はしょっちゅう塗り替えたいタイプなのでそんなに長持ちしなくても…。あ、でもジェルはやっぱりツヤが良いですねぇ」

爪の見せびらかし合いはやめろ。

アシュトーリアさんも止めれば良いものを、にこにこ笑って見てるだけ。

微笑ましいわね、と言わんばかりだ。

片や騎士団側は皆呆然としてるのに。

「何故…貴殿が、ここに」

最初に言葉を発したのは、五番隊のリーヴァだった。

ルレイアはちらりとリーヴァを見返しただけで、彼には何も言わず。

代わりに、俺に話しかけてきた。

「ところでルルシー」

「…何だよ」

「今日夕飯何ですか?」

…たかる気満々かよ。

「俺的には…今日はパスタが良いなぁ」

「マジ?アリューシャはステーキ以外なら何でも良いよ」

「何でステーキ以外?」

「最近エグい拷問見たからステーキ要らねぇ」

「成程。ちなみに私は、ペペロンチーノを所望する」

アイズまで。

皆して集りに来るのはまぁ良い。良くはないけどいつものことだから許そう。

自分勝手なリクエストを押し付けてくるのもまぁ許そう。逆にリクエストがなかったらメニューに困るからな。

だが。

「お前ら全員、食費を払え」

「…」

「…」

「…」

三人共無言で視線を逸らす。ふざけんなよ。

別に食費を浮かせる為にたかりに来てるんじゃないことは分かってる。マフィアの幹部が食費に困るなんて聞いたことがない。

そうではなく単純に、面倒臭いんだろ。

ペペロンチーノを作る前にこいつらを料理するべきだな、と思っていると。

「良いわねぇ。私もルルシーのご飯食べたいわ」

「…アシュトーリアさんまで…」

「アシュトーリアさんにまで頼まれたんじゃ仕方ないねぇ。そんな訳でルル公、アリューシャの為に野菜は細切れで頼むよ」

絶対ぶつ切りにしてやる。

そう心に誓った後で。

「…女王陛下の暗殺未遂に手を染め、それを悔いるどころかマフィアに与するとは…。恥を知れ、マフィアの犬め」

厳格なアストラエアは、ルレイアを憎々しげに睨み付けて言った。

事情を知らない者にしてみれば、そう思うのは当然だな。

しかしルレイアは涼しい顔であった。

「…それで?どうなってるんですか。現状は」

そしてようやく、会合の進捗を尋ねてきた。

…最初に聞けよ、それ…。
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