The previous night of the world revolution
ひそひそとお喋りした後は、俺は最近の態度悪い若者さながらに、下を向いて鼻唄混じりにスマホをぽちぽちしていた。

あるまじき態度であるとは分かっているが、これはパフォーマンスである。

あくまで悪いのは向こう、というスタンスで来ているので、これくらい舐めた態度でかかる方が良いのだ。

「あ、ルルシー。『ポテサラーズ』がまた新曲出すっぽいですよ~」

「またか…今度は何だ?」

「『ホクホク★ポテコロジューシーズ』だそうです」

「…相変わらずふざけたタイトルだな…」

何だかんだ言いつつも、一緒にデュエットしてくれるからな、ルルシー。カラオケで。

帝国騎士団の連中は、特にリーヴァやアストラエアは、スマホをぽちぽちする俺を見て顔をしかめていたけれど。

俺は勿論気にしないし、アシュトーリアさんもルルシーも、皆気にしてはいなかった。

平静を装っている風のオルタンスだが、内心では穏やかではないのだろうなと思うと、愉快で愉快で。

ざまぁwwと盛大に草を生やしてやりたいところだ。

いやはや、しかして憐れなものだ。

あのとき俺を殺しておけばこんなことにはならなかっただろうに。

勿論、俺が帝国騎士団についての情報を全部アシュトーリアさんに献上していることくらい、あのお馬鹿さんも気づいているだろうから?

嫌な人間を敵に回してしまったと、後悔していることだろう。

ふっ。馬鹿め。

この会合が終わった後、盛大に自分の浅はかさを悔いると良い。

彼が俺を生かしたことでこの後、どれほど頭を痛めるだろうかと。

考えただけで、高価なワインの一本くらい開けたくなるというものだ。

オルタンスだけではない。俺の冤罪に気づきもしなかった無能な隊長達もだ。

彼らは俺がマフィアに寝返った理由を、どう理解するのだろうか。

真実を知るのはオルタンスだけ。全く、考えれば考えるほど愉快で堪らない。

会合の間中、俺は楽しくてどうにかなりそうなくらい、胸が高鳴っていた。

自分が別人になったことを実感した。






…結局、帝国騎士団側は『青薔薇連合会』の提示した条件を飲む形で、平和的に和解した。


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