The previous night of the world revolution
「それじゃまぁ皆さんお元気でw」と。

半笑いで別れの挨拶をして、俺は来たときと同じくらい颯爽と会議室を出た。

「…そういやルレイア、お前、ここまでどうやって来たんだ?」

会議室を出るなり、ルルシーに声をかけられた。

「えー?徒歩ですけど」

「と…。よく歩いてきたなぁ」

だって、ネイルサロン近いし。

「それじゃあ、車で送っていこうか?」

え。ルルシー優しい。

普段ならこのルルシーの優しさに甘えさせてもらうところだけど、今日ばかりは。

「いえいえ、大丈夫ですよ。自分で帰りますよ」

「良いのか?」

「はい。何せ俺は今、何処まででも走り出せそうなくらいエネルギーに満ち満ちていますからね!」

今ならアエテルニタス山脈を徒歩で登頂出来そうである。

未だかつてこんなに元気だったことがあるのだろうかと思うくらいに。

「…分かった。じゃあ気をつけて帰れよ」

「はーい。後でルルシーん家行きますね」

「食費を払え」

「それじゃばいばーい」

「…」

俺はスキップ混じりに外に飛び出した。

あぁ、なんて清々しい。空気が美味しい。

マフィアに成り果てた俺の姿を彼らに見せつけた。もしかしたら、それだけで俺は満足してしまうかもしれないと思った。生きて、敵側に寝返った姿を見せただけで復讐が終わったと。

だが、そんなことはなかった。

復讐が終わった?それは大きな間違いだ。

これからだ。彼らに俺の姿を見せつけた、これから彼らに対する、復讐が始まるのだ!

そう思うと、身体中からエネルギーが溢れてくる。なんと愉快なことだろうか。この世にこんな楽しいことがあるとは。

俺、生きていて本当に良かったなぁ。

「あー…。楽しい」

ざまぁみろクズ共。俺は生き残ってやったぞ。

最早俺は、彼らの知るルシファーではなかった。

あんな弱い人間はとっくに死んだのだ。

今の俺は、身も心も真っ黒に染まった、ルレイア・ティシェリーなのだから。

俺を裏切ったこと、散々後悔すると良い。クズ共め。













帝都を颯爽と歩きながら、俺は、その人とすれ違ったことにさえ気がつかなかった。

それほどまでに、俺は…別人に成り果てていた。



< 444 / 626 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop