The previous night of the world revolution
sideルレイア
ーーーーー…俺が意気揚々と帰って、ルルシーの家で皆でペペロンチーノをご馳走になっている頃。
帝国騎士団の方は、正にお葬式のような雰囲気になっていた。
「…それで?『青薔薇連合会』との話し合いはどうなった?」
何も知らない、六番隊隊長フレイソナは、不安そうな面持ちで聞いた。
彼が聞いているのは、『青薔薇連合会』に賠償を吹っ掛けられたのではないかということ。
けれども会議に参加した五人の隊長達にとって、問題はその点ではなかった。
「…想定の範囲内だ」
それどころではないと答えたいところだろうに、オルタンスは生真面目にそう答えた。
「そうか…。もっと難題を吹っ掛けてくるかと思ったが、アシュトーリア・ヴァルレンシーはなかなか堅実ならしいな」
フレイソナのその評価には、俺も納得である。
要求を低くし過ぎても、逆に高くし過ぎても、両者の均衡を崩す元になるからな。
何事も、適度が大切だ。
「こちらの主張を、一応でも受け入れたということか…」
「あぁ」
馬鹿馬鹿しいことこの上ないオルタンスの嘘であるが、彼がそう主張するなら呑まざるを得ない。
いつまでその手が通じるのか。そもそもクリュセイス家の人間は馬鹿ばっかりだ。
今ある自分の富と名誉に満足出来ないのだろうが…。
「それなら、特に問題はないのでは?何をそんなに浮かない顔を…」
「ルシファーがいたんだよ。『青薔薇連合会』にな」
「…!?」
オルタンスの代わりに、アドルファスがそれを口にした。
さすがの隊長達も、驚愕に目を見開いた。
その光景、実に見たかった。
「ルシファーと言うと…。ローゼリア女王陛下を暗殺しようとした…」
「あぁ、それだ。ルシェの弟だ」
「何だと…。あの男が、『青薔薇連合会』に…。それは本当か?」
俺がいなくなったお陰で八番隊に出世したユリギウスは、アドルファスの言葉が信じられない様子だった。
まぁ、実際見てみないと分からんよなぁ。
「こんなタチの悪い嘘をつくかよ。本当だ」
「なんということを…。あの裏切り者、女王陛下の命を狙うだけに飽き足らず、マフィアに寝返るなど…」
相変わらず、ユリギウスはアストラエアと同意見らしい。
同じような台詞。もうお腹一杯である。
「そんな…。ルシファーが…マフィアになんて」
そして、ユリギウス以上に信じがたいような顔をした、ウィルヘルミナ。
俺は知るよしもないが、彼女は最後まで俺が暗殺未遂事件の犯人ではないと信じ続けた人だった。
「何故そんなことに…」
「知らねぇよ。大方女王の暗殺に失敗した腹いせだろ」
アドルファスのその推測は的外れも良いところだが、まぁ事情を知らなければそう思うのも致し方ない。
「しかも検討違いな青少年運動まで拗らせてたんだ。そりゃマフィアにも傾くだろ」
「あの男は…そんなことをするような人間では…」
「つっても俺らは見てきた訳だからな。あいつがド派手な恰好してマフィア側にいる姿を。それとも人違いだったとでも言うつもりか?」
この期に及んでまだ俺を庇おうとするウィルヘルミナに、うんざりした様子でアドルファスが答える。
そこに追撃するかのように、オルタンスはもう一人の裏切り者の名をあげた。
「ルシファーだけではない。もう一人…元八番隊分隊長のルキハ・シェルシュ・ティグラーダの姿もあった」
やはりオルタンスは、ルルシーのことにも気づいていたようだ。
帝国騎士団の方は、正にお葬式のような雰囲気になっていた。
「…それで?『青薔薇連合会』との話し合いはどうなった?」
何も知らない、六番隊隊長フレイソナは、不安そうな面持ちで聞いた。
彼が聞いているのは、『青薔薇連合会』に賠償を吹っ掛けられたのではないかということ。
けれども会議に参加した五人の隊長達にとって、問題はその点ではなかった。
「…想定の範囲内だ」
それどころではないと答えたいところだろうに、オルタンスは生真面目にそう答えた。
「そうか…。もっと難題を吹っ掛けてくるかと思ったが、アシュトーリア・ヴァルレンシーはなかなか堅実ならしいな」
フレイソナのその評価には、俺も納得である。
要求を低くし過ぎても、逆に高くし過ぎても、両者の均衡を崩す元になるからな。
何事も、適度が大切だ。
「こちらの主張を、一応でも受け入れたということか…」
「あぁ」
馬鹿馬鹿しいことこの上ないオルタンスの嘘であるが、彼がそう主張するなら呑まざるを得ない。
いつまでその手が通じるのか。そもそもクリュセイス家の人間は馬鹿ばっかりだ。
今ある自分の富と名誉に満足出来ないのだろうが…。
「それなら、特に問題はないのでは?何をそんなに浮かない顔を…」
「ルシファーがいたんだよ。『青薔薇連合会』にな」
「…!?」
オルタンスの代わりに、アドルファスがそれを口にした。
さすがの隊長達も、驚愕に目を見開いた。
その光景、実に見たかった。
「ルシファーと言うと…。ローゼリア女王陛下を暗殺しようとした…」
「あぁ、それだ。ルシェの弟だ」
「何だと…。あの男が、『青薔薇連合会』に…。それは本当か?」
俺がいなくなったお陰で八番隊に出世したユリギウスは、アドルファスの言葉が信じられない様子だった。
まぁ、実際見てみないと分からんよなぁ。
「こんなタチの悪い嘘をつくかよ。本当だ」
「なんということを…。あの裏切り者、女王陛下の命を狙うだけに飽き足らず、マフィアに寝返るなど…」
相変わらず、ユリギウスはアストラエアと同意見らしい。
同じような台詞。もうお腹一杯である。
「そんな…。ルシファーが…マフィアになんて」
そして、ユリギウス以上に信じがたいような顔をした、ウィルヘルミナ。
俺は知るよしもないが、彼女は最後まで俺が暗殺未遂事件の犯人ではないと信じ続けた人だった。
「何故そんなことに…」
「知らねぇよ。大方女王の暗殺に失敗した腹いせだろ」
アドルファスのその推測は的外れも良いところだが、まぁ事情を知らなければそう思うのも致し方ない。
「しかも検討違いな青少年運動まで拗らせてたんだ。そりゃマフィアにも傾くだろ」
「あの男は…そんなことをするような人間では…」
「つっても俺らは見てきた訳だからな。あいつがド派手な恰好してマフィア側にいる姿を。それとも人違いだったとでも言うつもりか?」
この期に及んでまだ俺を庇おうとするウィルヘルミナに、うんざりした様子でアドルファスが答える。
そこに追撃するかのように、オルタンスはもう一人の裏切り者の名をあげた。
「ルシファーだけではない。もう一人…元八番隊分隊長のルキハ・シェルシュ・ティグラーダの姿もあった」
やはりオルタンスは、ルルシーのことにも気づいていたようだ。