The previous night of the world revolution
オルタンスと、それからアドルファスは。

俺という人間のの脅威に、気がついているようだった。

恐らく姉も気づいているのだろうが、相変わらず能面のような顔をしているだけだ。

俺が脅威だと分かっているのは、上位の隊長達だけだった。

「確かに厄介ではあるが…。奴が知っているのは、あくまで三年前の情報だ。今の情報ではない。それに任期も一年程度。そこまで多くの情報を知っている訳では…」

俺の何がそんなに脅威なのか分からないらしいフレイソナは、検討違いのフォローを入れようとしたが、アドルファスがそれを遮った。

「帝国騎士団の機密を喋られるのが厄介なんじゃねぇよ。確かにそれも充分面倒ではあるがな。向こうの情報網の深さと広さを考えれば、元々機密なんてあってないようなもんだ」

「なら、何が…」

「あいつ本人が厄介だって言ってんだよ」

四番隊以下の隊長達は、アドルファスのその言葉が意味することが分からないようだった。

「本人が…?確かに彼は戦闘能力はそれなりのものだったが…」

「戦闘能力だけなら苦労しねぇよ。強いだけの馬鹿ならちっとも怖くはねぇ。あいつが厄介なのは、強い上に賢しいからだ」

さすがにアドルファスは、よく分かっている。

俺の脅威が、一体何処にあるのかを。

「あいつは自分で考えて動ける人間だ。おまけに、人の上に立つ生まれながらのカリスマ性がある。人を使う才能があるんだ。これ以上に厄介なことがあるか」

「買い被り過ぎだ。あんな子供に何が出来る」

アストラエアは、とことんまで俺をガキだと見下げているのか、そう吐き捨てたが。

「…お前それ、本気で言ってんのか?だとしたらお前の目は節穴だぞ」

「何だと?」

「そうやって頭にすぐ血が上るところも、あいつに利用されかけただろうが。認めろ。あいつは強い。強い上に賢しい。俺達のこともそこそこ知ってる。敵に回すには最悪の相手だ。ある意味でアシュトーリアより厄介だぞ」

「…」

アドルファスだって、馬鹿ではない。

彼にそこまで言わしめるということは、認めたくはないが、ルシファーというあの男は、それなりの脅威なのだ。

アストラエアは、渋々とそれを認めたようだった。

まぁ、まだ半信半疑なのだろうが?

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