The previous night of the world revolution
その後、ルルシーが卵雑炊を作ってきてくれた。

ポテトサラダの名残か、柔らかくしたじゃがいもも入っていたが。

さすがのルルシー。天才的に上手だった。

美味し過ぎて泣ける。

ルルシーがいてくれる限り、ルティス帝国の食文化には、一筋の光が差すことだろう。

良かった。未来は明るい。

ちなみにシュノさんが作った暗黒ポテトサラダは、ルルシーの手によって新聞紙に厳重に包まれ、更にビニール袋を二重にして口を固く縛り、ゴミ箱に捨てられた。

ずずずず…と毒ガスじみた謎の煙(?)をあげるそれを見て、ルルシーはよくこんなもの食べようとしたな…と呟いていた。

食べようとした俺の勇気を称えて欲しい。

「ルルシーのご飯は美味しいのね…」

シュノさんはルルシーの卵雑炊を一口食べて、しょんぼりとして言った。

「ルルシーご飯は、俺のお袋の味でもありますしね…」

「…お前が俺の料理食べるようになったの、ここ数年のことだろ?」

ルルシー以上に美味しいご飯を作る人を、俺は他に知らない。

何処ぞの高級料亭なんて目じゃない。

「良いなぁ、ルルシーは…。ご飯作るの上手で…」

「…」

「私も料理上手くなって、ルレイアに食べてもらいたいな…」

「…何で俺?」

何故俺を名指しするのか。

「…そんなに言うなら、俺が教えてやろうか?」

と、ルルシー。

なんてことだ。ルルシー、姉御肌。

「…良いの?」

「まぁ、俺もあくまで趣味の延長だが…。それなりには作れるからな。今後またルレイアが被害を被る前に…基礎くらいは、覚えておいた方が良いだろう」

シュノさんは、ぱっと嬉しそうな顔になった。

やる気があるのは良いことだ。伸び代充分だな。

「やる、私料理頑張るわ」

「分かった。ゆっくりやっていこう」

こうして交渉成立し、シュノさんはしばらく、ルルシーの指南を受けることに決まった。
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