The previous night of the world revolution

sideルルシー

ーーーーー…俺の、主観ではあるが。

料理が下手な奴って、下手な癖にアレンジをしたがるよな。

シュノはどうやら、その手のタイプであるらしかった。




料理を教えることになった初日。

シュノの要望で、どうしてもポテトサラダをリベンジしたいということで、今日のメニューはポテトサラダということにしたのだが。

シュノが買ってきた材料。

まず、じゃがいも。これは基本だな。

次に、にんじん、きゅうり、玉ねぎ、ハム。この辺りも問題ない。

けれど、当たり前のように自分もポテサラの材料ですとばかりに鎮座している、このイチゴジャムは何だ。

イチゴジャムだけじゃない。その横には、チョコレートやかき氷のシロップ、ポテトチップスなどのスナック菓子。

果ては無駄に新鮮なサンマ、鯖味噌の缶詰、海苔の佃煮、匂いの強いチーズ、塩漬けの豚肉まであった。

これは一体何なんだ。

俺は今日、ポテトサラダを作るつもりで来たんだが、もしかして何か誤解しているのか。

それとも、シュノの生まれた惑星では、ポテトサラダにこんなものまで入っていたのか?

「…何?この…イチゴジャムとか」

「?材料…」

「何の?」

誤解があったらいけないと、俺はシュノに尋ねてみた。

「ポテトサラダでしょ?」

何を当たり前のことを、と言わんばかりのシュノ。

…成程、そう来たか。

これは…前途に難が多過ぎるな。

「…何でポテトサラダに、イチゴジャムが要るんだ?レシピには書いてなかったろ?」

俺はシュノの為に、小学生用の料理本を一冊、プレゼントしていた。

それは初心者向けの簡単なレシピばかりが載っていて、ポテトサラダもあった。

初心者向けだから、凝った材料などはなく、ごくシンプルに…オーソドックスな材料だけが載っていたはず。

ポテトサラダに鯖味噌やチーズなんていう、上級者向けどころか錬金術じみた材料は書いてないはずなのだが?

「入れたら美味しいかなって…」

「…」

「レシピ通りじゃつまらないでしょ?」

…これが。

この精神が、料理下手な人が更に料理を不味くさせる原因である。
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