The previous night of the world revolution

sideルレイア

ーーーーー…その頃、俺は。

「聞いたぜルレ公。シュー公に半殺しにされたって?」

「…そうなんですよー」

「大変だったねぇ」

俺は、アリューシャとアイズに慰められていた。

シュー公、とは勿論シュノさんのことである。

「しっかしシュー公、料理へたっぴなのか~。アリューシャと一緒だなぁ」

「私も料理は上手くないけど、さすがに人を一人殺しかけるほどではないね」

「あはは…」

俺も料理はそんなに得意ではない。ルルシーと比べると俺なんて…足元くらいには及ぶが、精々膝程度。

けれどもシュノさんの料理の腕前は…初めてだということを差し置いても…酷かったなぁ。

正直、悶えてた頃の記憶は吹っ飛んでる。

気がついたらルルシーがいた。そんな感じ。

「災難だったなールレ公…」

アリューシャが慰めてくれた、そのとき。

俺の携帯の着信音が鳴った。

誰かと思うと、

「あ…。ルルシーだ」

ルルシーからのコール。一体何だろうか。

「もしもし?ルルシー?」

『あぁ、ルレイア…。どうだ?調子は。記憶は戻ったか?』

「はい。ルルシーが来てくれた辺りからは覚えてますよ」

『そ、そうか…。まだそこからか…』

多分一生消えてると思うんだ。食べたときの記憶は。

『…それはともかく、食欲は戻ったか?』

「ふぇ?」

『俺が教えてやって、シュノがポテサラをリベンジしてな…。良ければ食べてやって欲しいんだが』

「…」

昨日のポテサラ、食べたときのことは覚えてないのに、身体がぶるっ、と震えた。

人間、恐怖だけは覚えてるもんだな。

『大丈夫だ。俺が監督したから、ポテサラの様相を呈している』

俺の不安をルルシーも察したのか、そうフォローしてくれた。

そうか…。まぁ、ルルシーが監督してくれたなら、一応食べられるものを作れたのだろうけど。

何よりシュノさんがリベンジを果たしたのなら、俺も見届けねばなるまい。

『それと、余った材料で俺も色々作ったから』

「え、ルルシーもですか?」

『あぁ。だから、アリューシャやアイズも呼んでくれるか?近くにいるか?』

「めっちゃ隣にいますよ」

ちらっと横を見ると、ピースサインのアリューシャ。

『そうか。なら、すぐに来るように伝えてくれ』

「はーい」

電話を切り、アリューシャとアイズに向き直る。

「なんか、ルルシーが来てくれって。シュノさんのリベンジポテサラに、今ならルルシーのご飯つきで振る舞ってくれるそうですよ」

「ほぇ~。シュー公のポテサラねぇ。さっきの話を聞いてたら、身の危険を感じるところだけど」

「ルルシーが見てるなら大丈夫なんじゃない?それに…ルレイアが行くなら行くよ。一人では行かせられないからね。一蓮托生だよ」

アイズも優しいな。

「んじゃーアリューシャも行こう。死なば諸共!」

アリューシャも優しい。でも不吉なことを言わないでくれ。

まだ死にたくないから。

ないとはおもうけど、もう一回あのポテトサラダ食べさせられたら…二度目はないだろうなぁ…。
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