The previous night of the world revolution
その後、ルキハは床でゾンビみたいに倒れていた俺を、背中に負って。

そのまま、学生寮を出た。

「あの…何処に連れていくんですか」

ルキハに背負われたまま、俺は尋ねた。

口、動かすと痛い。

ルキハはあっけらかんと、当たり前のように答える。

「医務室」

「…」

「あと、お前痩せ過ぎだぞ。軽い。50キロないだろ」

「…行かなくて良いですよ」

医務室なんて。

あと、体重が低いのはコンプレックスだから言わないでくれ。

「馬鹿か。そんな満身創痍の状態で医務室に行かなかったら、医務室は何の為に存在してるんだ」

「でも…俺、養護教諭に嫌われてますから…」

いじめのことを何度もしつこく相談したことがあるから。

そのせいで、医務室なんて門前払いされている。

「怪我人が目の前にいるのに無視するなら、それは職務放棄だ。養護教諭の資格もない」

「…」

「そのときは病院に駆け込めば良い。名誉ある騎士官学校は生徒が怪我をしてても手当てすらしないって泣きながら訴えれば、愉快なことになるだろうな」

…確かに、愉快なことになるだろうな。

大問題だ。

「っていうかお前、前からあいつらにこんなことされてたのか」

「…」

「…されてたんだな」

「…はい」

現場を見られているのに、今更言い訳も出来ない。

「それでお前、病的に暗いんだな…」

「…もとは、こんなんじゃなかったんですけどね」

「そうだろうな。あいつ、足払いじゃなくて回し蹴りしてやれば良かった」

「…」

などと話している間に、医務室に到着した。

養護教諭は俺の顔を見て嫌そうな顔をしたけど、ルキハが、無視するなら今すぐ街の病院に駆け込む。あんたが門前払いしたって訴える。と。

きっぱり言った為に、俺を拒否する訳にもいかず、渋々手当てしてくれた。
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