The previous night of the world revolution
生まれた男の子の名前は、ルシファー。

ルシファー・ルド・ウィスタリア。

彼はその名前に、生涯苦しめられることになる。

ウィスタリアの家は、ルティス帝国で知らない者はいないほど名の知れた、貴族の名家であった。

彼はその名家の、次男として生まれた。

ルティス帝国では、貴族の家督継承権は男児だけでなく、女児にも認められているが。

慣習として、ほとんどの場合は男児が家督を継ぐのが一般的である。

その為、男児の誕生は女児の誕生よりも喜ばれるのだ。

時代錯誤も甚だしい。

生まれた子は、誰からも喜ばれて、この世に生を受けた。

そのときはまだ、彼は知らなかった。

自分に待ち受ける、恐ろしい運命の全てを。

何も知らず、幸せなまま…乳幼児期を過ごした。

思えばこの頃が、俺の人生で一番幸せな時期だったのかもしれない。
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