The previous night of the world revolution
けれども、僕が思っているよりも現実は厳しかった。

何より、僕の活動に対して、他の隊長達は良い顔をしなかったのだ。

多くの先輩隊長達は、マフィアを必要悪と考え、真っ向から対立しようとはしなかった。

むしろ、マフィア相手に不用意な手出しをして、今の均衡状態を崩したくない。

そんな姿勢だった。

マフィアが悪であることは分かっている。いなくなるなら、いなくなってくれた方が良い。それは一致している。

けれども、それをするだけの労力があまりにも大き過ぎて、踏み出すことが出来ないのだ。

マフィアの中でも、特に『青薔薇連合会』。ルティス帝国最大の非合法組織。

あれらに手を出すことは、今の帝国騎士団には出来なかった。

むしろ、波風が立たないようにこちらが奴らの顔色を伺うことすらあるそうだった。

全く馬鹿馬鹿しい話だ。正義である帝国騎士団が悪である『青薔薇連合会』に臆したら、誰が彼らを取り締まるのか。

まずは隊長達に染み付いた、この事なかれ主義を何とかしなければ。

焦ることはない。僕はまだ若く、人生は長い。少しずつでも、マフィアをこの国から追い出すことが出来れば。

そうすればこの国の汚点は消え去ることだろう。

それが僕の目指すところであった。

だから、この度の『青薔薇連合会』の勢力拡大は、とてもじゃないが見逃せることではなかった。

僕は帝国騎士団長に頼んで、今日の隊長会議でこのことについて議題にさせてもらうよう取り計らってもらった。

何をおいても、これに勝る優先事項はない。

ただでさえ厄介な『青薔薇連合会』が、これ以上勢力を拡大したらどうなるか。

現状の均衡は崩れ、『青薔薇連合会』は帝国騎士団に勝る勢力を有する恐れがある。

正義が、悪に負けてしまうことになる。

絶対に、そんなことをさせてはいけないのだ。

僕らを信じて国を任せてくれる、全ての帝国民の為にも。
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