The previous night of the world revolution
「帝国騎士団は、もっと『青薔薇連合会』に高圧的に出るべきです。ここいらで釘を刺しておかないと、奴らはもっと増長することでしょう」
「…とは言うけどな。簡単に釘を刺せる相手でもないだろ」
三番隊隊長アドルファスは、うんざりしたように言った。
「迂闊に彼らに手を出せば、『青薔薇連合会』と対立することにもなりかねない。彼らとの正面衝突は避けるべきだ」
更に、六番隊隊長のリーヴァも続けた。
ほら、まただ。
こうして、マフィアに甘い人が多過ぎる。
しかし、一方で。
「私は賛成だ。あれらは調子に乗り過ぎている。このままでは我らは馬鹿にされるだけだ」
五番隊隊長のアストラエアは、僕の意見に賛同してくれた。
隊長達もそれぞれ考え方は違っていて、五番隊と、それから九番隊の隊長ユリギウスは、マフィア許すまじ、という僕の意見に賛同してくれることが多い。
けれども、この二人だけだ。
あとは、皆。
「とは言っても…。実際、『青薔薇連合会』を怒らせてどうなると思う?ルティス帝国の財政基盤が根本から揺らぐぞ」
こうして、反対意見を口にする者ばかりだ。
この台詞も何度も聞いた。ルティス帝国の財界に根深く癒着している『青薔薇連合会』がなくなれば、経済が回らなくなる。
しかしこの懸念に対しては、論駁出来る。
「以前データで示した通り、『青薔薇連合会』が壊滅しても、財政基盤への影響はそれほど大きくはありません。確かに一時は混乱があるでしょうが、現状『青薔薇連合会』が持っているパイプを、そのまま政府が受け持てば更に影響は僅かです」
「…そうは言うがな。データはあくまで机上の空論だ」
「それを言うなら、『青薔薇連合会』がいなくなることで帝国の財政が破綻するというのも机上の空論に過ぎません。何より変化を恐れることで、明らかな『悪』を野放しにすることこそが悪です」
我々帝国騎士団は、常に正義でなければならない。
我々が正義を全うしなければ、他の誰が行うのか。
「今こそ『連合会』に歯止めをかけ、せめて騎士団の管理下に置くように…」
「それが出来るなら苦労しねぇよ」
もういい加減にしろ、と言わんばかりに三番隊隊長が言った。
「…どういう意味です」
「お前は知らんだろうがな、『青薔薇連合会』には"あいつ"がいる。数年前の『青薔薇連合会』なら、お前の言うように帝国騎士団の管理下に置くことも出来たかもしれない。でも今は駄目だ。"あいつ"がいる限り、『青薔薇連合会』に手を出すのは危険過ぎるんだよ」
「…"あいつ"…?」
僕は、その人物を知らなかった。
そんな危険人物が、『青薔薇連合会』にいるのか?
「…とにかく、今すぐ『青薔薇連合会』に介入するのは時期尚早だ。もう少し、様子を見よう」
僕が"あいつ"の正体を聞く前に、騎士団長のオルタンスはこの話に区切りをつけた。
…駄目だったか。
まぁ、あまり期待していた訳ではないが。
でも、僕は諦めない。なんとしても、僕はこの国から、非合法組織をなくしてみせる。
改めて、心にそう誓った。
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「…とは言うけどな。簡単に釘を刺せる相手でもないだろ」
三番隊隊長アドルファスは、うんざりしたように言った。
「迂闊に彼らに手を出せば、『青薔薇連合会』と対立することにもなりかねない。彼らとの正面衝突は避けるべきだ」
更に、六番隊隊長のリーヴァも続けた。
ほら、まただ。
こうして、マフィアに甘い人が多過ぎる。
しかし、一方で。
「私は賛成だ。あれらは調子に乗り過ぎている。このままでは我らは馬鹿にされるだけだ」
五番隊隊長のアストラエアは、僕の意見に賛同してくれた。
隊長達もそれぞれ考え方は違っていて、五番隊と、それから九番隊の隊長ユリギウスは、マフィア許すまじ、という僕の意見に賛同してくれることが多い。
けれども、この二人だけだ。
あとは、皆。
「とは言っても…。実際、『青薔薇連合会』を怒らせてどうなると思う?ルティス帝国の財政基盤が根本から揺らぐぞ」
こうして、反対意見を口にする者ばかりだ。
この台詞も何度も聞いた。ルティス帝国の財界に根深く癒着している『青薔薇連合会』がなくなれば、経済が回らなくなる。
しかしこの懸念に対しては、論駁出来る。
「以前データで示した通り、『青薔薇連合会』が壊滅しても、財政基盤への影響はそれほど大きくはありません。確かに一時は混乱があるでしょうが、現状『青薔薇連合会』が持っているパイプを、そのまま政府が受け持てば更に影響は僅かです」
「…そうは言うがな。データはあくまで机上の空論だ」
「それを言うなら、『青薔薇連合会』がいなくなることで帝国の財政が破綻するというのも机上の空論に過ぎません。何より変化を恐れることで、明らかな『悪』を野放しにすることこそが悪です」
我々帝国騎士団は、常に正義でなければならない。
我々が正義を全うしなければ、他の誰が行うのか。
「今こそ『連合会』に歯止めをかけ、せめて騎士団の管理下に置くように…」
「それが出来るなら苦労しねぇよ」
もういい加減にしろ、と言わんばかりに三番隊隊長が言った。
「…どういう意味です」
「お前は知らんだろうがな、『青薔薇連合会』には"あいつ"がいる。数年前の『青薔薇連合会』なら、お前の言うように帝国騎士団の管理下に置くことも出来たかもしれない。でも今は駄目だ。"あいつ"がいる限り、『青薔薇連合会』に手を出すのは危険過ぎるんだよ」
「…"あいつ"…?」
僕は、その人物を知らなかった。
そんな危険人物が、『青薔薇連合会』にいるのか?
「…とにかく、今すぐ『青薔薇連合会』に介入するのは時期尚早だ。もう少し、様子を見よう」
僕が"あいつ"の正体を聞く前に、騎士団長のオルタンスはこの話に区切りをつけた。
…駄目だったか。
まぁ、あまり期待していた訳ではないが。
でも、僕は諦めない。なんとしても、僕はこの国から、非合法組織をなくしてみせる。
改めて、心にそう誓った。
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