The previous night of the world revolution
「聞いてくださいよー。ルルシー。この間キープの一人が誘ってきたから、まぁ餌でも与えておくかと思ってわざわざ出向いたのに、生理中だから出来ないとかほざくんですよ?なら呼ぶなって話ですよね」

「…お前は、いちいちそんな話をしに俺のところに来るな」

「腹立ったから無理矢理やりましたけどさ。こっちも気持ち悪かったですよ」

「しかもやったのかよ…」

だって。

口でやらせても良かったけど、あのとき俺、結構機嫌悪かったもんなぁ。

なんか虫の居所が悪いから、帰って今度は、エリュシアを抱き潰しておいた。

こういうとき、下僕がいると便利だよね。

何だかんだ言いつつも、ルルシーも話聞いてくれる。優しい。

「…それは良いとして、お前、仕事をしろよ」

「失敬な~。俺だって真面目に仕事してますよ?」

ただちょっと、息抜きをしているだけで。

ルルシーのところに来ると、何となく安心するのだ。

長い付き合いだもんな。

「真面目に仕事してるなら、こんなところで…」

と、ルルシーが言いかけたが。

そのとき、俺の携帯に着信音が鳴った。

「あ、誰かから電話~」

「…お前…」

都合良くルルシーのお小言から抜け出せたと、俺はわざとらしく携帯を取り出した。

素晴らしいタイミングで電話をくれた素晴らしい人は誰だろうか。

「もしもし?」

『あ…あの、私…』

「あ、シュノさんじゃないですか」

電話をくれたのは、シュノさんだった。

「どうかしました?」

何かお仕事の要請だろうか?

しかし、彼女からの用件は、俺の予想とは全く違うものだった。

『あの…その…』

「?」

何が言いたいのかよく分からないけど、どうやら仕事のことではなさそうだ。

仕事とあれば、ここまで躊躇う必要はたいだろうからな。

何だろう。

「…シュノさん?」

『…あの。今度…。今度で、良いんだけどね』

「はい?」

『その、一緒に…。…そう、ルーちゃんの』

ルーさん?

『ルーちゃんの、玩具買いに行かない?』

「はぁ…。良いですね」

どうやらシュノさんは、一緒にルーさんグッズを買いに行きたいとのこと。

そんなに誘いにくいことだろうか。

と言うか、ハリネズミって、どんな玩具で遊ぶんだろう?

まさか猫じゃらしに寄ってきたりしないよな。

「分かりました。行きますよ」

『ほ、本当っ?』

「えぇ。いつが良いですか?」

『えっと…私の次のお休みは…』

俺は手帳を取り出して、シュノさんと都合の合う日を確認した。

丁度お互い空いているのは、二週間後だな。

「それじゃ、その日に」

『うんっ…。楽しみにしてる』

予定を取り付けて、手帳に記入してから通話を切る。

どうにも、シュノさんはうきうきしているようだった。

…ハリネズミって、何で遊ぶのか調べておかないとなぁ。

「…シュノか?」

「はい」

ルルシーは、眉間に皺を寄せて腕を組んでいた。

わー。難しい顔だ。

「何処か遊びに行くのか」

「ジェラシーですか?俺はルルシーとなら何処にでも行きますよ」

「そうじゃない」

そうじゃないのかぁ。たまにはルルシーとも出掛けたいな。

主にカラオケに。

「…お前、あのな、ずっと言おうと思ってたけど」

「はい?」

ルルシーになら、何を言われても構わないが?

「…シュノは多分、お前のこと好きだぞ」

「あー…。多分そうなんでしょうねぇ」

ルルシーは俺の返事を聞いて、驚いた顔をした。

「…お前、気づいてたのか?」

あはは。ルルシーったら、いつまで俺がうぶなチェリーボーイだと思っているのか。

残念ながら、それはもうとっくに卒業したのだ。
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