The previous night of the world revolution
乞われるがまま、求められるがままに、俺はシュノさんを抱いた。

その選択が正しかったのかは分からない。でも…シュノさんはずっと、嬉しそうだった。

本当に嬉しそうだった。

だから、これで良かったのだと…思うしかなかった。

恋人にはならなくて良い、と彼女は言った。

ただ、あなたにとって大切な人でありたい、と。

既に彼女は、俺にとって大切な…特別な存在だ。

だって俺は初めて、女性と情を交えたのだから。

それは愛ではない。少なくとも、色恋の感情ではなかった。

心の大半を復讐の悪魔に捧げた俺に、今更人は愛せない。

だから愛ではない。愛だとしたらこれは、原型を留めないほどに歪んでいる。

愛じゃなくて良い。

多分、これは同情なのだ。

お互いの、埋まらない心の隙間に対する同情。

でも、それで良い。

それが傷の舐め合いなのだとしても。

そうすることで生きていこうとする俺達を、誰が責めることが出来るだろうか。
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