The previous night of the world revolution
数日後。



「じゃーんっ。見てくださいこれ~」

「うぉぉぉ!かっけぇ!」

「…」

俺は、仕立てたばかりの衣装に身を包み、早速ルルシーの執務室に向かった。

いつもの溜まり場には、既にいつものメンバーが揃っていた。

「これはまた凄い格好だね。新しく仕立てたの?」

アイズこと、アイズレンシアが尋ねる。

「えぇ。今度帝国騎士団を冷やかしに行くでしょう?その為の勝負服なんです」

「へぇ。気合い入ってるねぇ」

「ルレイア、格好良い…」

アイズにも、更にはシュノさんにも好評である。

シュノさんなんて、目をきらきらさせているくらいだ。

俺のセンスに皆脱帽だな?

「…なんていう派手な格好だ…」

ただ一人、ルルシーを除いては。

憐れなるルルシーよ。彼には俺の美的センスが理解しがたいらしい。

ノースリーブの黒いフリルシャツに、肘上まで覆う黒いレースのアームカバー。コルセット風のベルト。

リングブレスレットのチャームも増し増し。更にハーフアップにした髪につける髪飾りのチャームも増し増しである。

黒いパンツに合わせる靴は、今回もサンダルにした。

お気に入りの黒蝶のアンクレットが覗くように。

あとは当日、メイクとネイルを入念に施すだけ。

いやはや、これぞ勝負服。

「格好良いでしょう?ルルシー」

「隣を歩く俺が大迷惑」

酷い。

「ルルシーも今回は決めていきましょうよ。俺服貸しますから!」

「絶対に嫌だ」

俺に言わせれば、ルルシーは真面目過ぎるのだ。

服にしても、大人し過ぎる。

若いときにお洒落せずに、いつお洒落するのか。

「こんな奴と歩いてたら、目立ってしょうがない。まだアリューシャと行った方がましだ」

はぁ、と嘆きの溜め息を漏らすルルシー。

「ちょっと~。アリューシャに失礼だろ~?」

「アリューシャが行くなら、服貸しますよ?」

「おぉ!借りる借りる!コスプレみたいで楽しそう!」

「…」

さすがアリューシャ。ノリの良さが素晴らしい。

「仕方ない。君の相方はあんなだよ」

「…はぁ」

「ルレイア、格好良い…」

労うようにぽん、とルルシーの肩に手を置くアイズと、再度溜め息をつくルルシー。

の、横で俺に羨望の眼差しを向けるシュノさん。

全く、これだからマフィアはやめられないよ。

楽しくて仕方がないじゃないか。
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