The previous night of the world revolution

sideルーシッド

ーーーーー…帝国騎士団四番隊隊長に就任してから。

この僕、ルーシッド・デルマ・スヴェトラーナは、非常に忙しい毎日を送っていた。




僕の今の第一目標は、ルティス帝国の非合法組織、主に『青薔薇連合会』に対する規制を厳しくし、マフィアを取り締まることである。

春から、様々な手段を用いてマフィアの活動を規制する法律を立ち上げようと、他隊の隊長達に同意を求めたが。

なかなか首を縦に振ってはくれず、依然として『連合会』は勢力を拡大させていった。

一部の隊長達…五番隊のアストラエアや、九番隊のユリギウス辺りは、僕の提案に同意してくれているのだが。

他の隊長達の同意が得られず、また、騎士団長であるオルタンスからの承認もないのだから、まだまだ先は長い。

でも、悠長にしている暇はないのだ。

こうしている今も、マフィアの横暴によって虐げらている人々がいる。

そんな人々を救うには、一刻も早く他隊の隊長達の承認を得なければならない。

その為には、僕一人では駄目だ、と思った。

帝国騎士官学校出たてで、まだ新参者の僕では、影響力がなさ過ぎる。

もっと強力な、後ろ楯が必要だ。

そう思って、僕は後ろ楯となってくれる人を探す為に奔走した。そして、その人は見つかった。

ミルーダ・エルディア・クリュセイス卿。

言わずと知れたクリュセイス家のご令嬢である。

彼女は昨年、僕がまだ学校にいた頃、使用人が事件を起こしたことにより、責任を取って地方にて謹慎していた。

その使用人はなんと、勇敢にも『連合会』を潰そうとしたらしいのだが。

生憎それは失敗に終わった。あの『連合会』に対して、武力で勝負するのは非常に厳しいものがある。

帝国騎士団でもない限り、正面から戦って勝つことが出来る者はいないだろう。

話を戻すが、そのミルーダ・クリュセイス卿。彼女自身もまた、非合法組織に対して厳しい意見を持つ人であった。

僕ははるばる彼女のもとに出向き、直談判した。

どうか、自分に協力してはくれないかと。

ミルーダ・クリュセイス卿は謹慎中の身ではあるが、ベルガモット王家に連なるクリュセイス家の人間。後ろ楯としてはこの上ない。

僕の必死の訴えに、彼女は応えてくれた。

『青薔薇連合会』をどうにかするなら、自分も協力する、と。

彼女には感謝に堪えない。これで僕の発言は、価値と重みを増すことになる。

こうして僕は、有力な後ろ楯を得た。

更に、もう一人。

こちらは積極的な協力ではないが、王妹殿下、つまりローゼリア女王の妹君であるアルティシア様からも、力添えをもらった。

必要なら、自分の名前を使って構わないとの言葉を賜った。

クリュセイス家の人間と、ローゼリア女王の妹。その二人からの協力を得た僕は、大きな発言権を得ることとなった。
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