The previous night of the world revolution
会場に着くと。

「うわぁ。帝国騎士団の奴らが一杯いる。見て、ルルシー。あの無能丸出しの顔!笑えてきますよね~」

「こら。声が大きい」

おっと、しまった。ついつい本音が。

本当に言いたいことは黙っておくもんだよなぁ。少なくともこういうときは。

例えば、今こっちを見てぎょっとしてる帝国騎士。つけているバッジからして分隊長なのだろうけど、あの間抜け顔。アホそのものだな。

更に、壇上で偉そうに座ってるオルタンス。あまりの馬鹿面に、墨汁で落書きしてやりたくなる。少しはましになるんじゃなかろうか。

さて、それはさておき。

「俺達、何してれば良いんでしょうねぇ?」

「…ひとまず、目立たないように振る舞うしかないだろう。…お前のその格好じゃ到底無理だがな」

この度の式典は、いつも通りルティス帝国の伝統、立食パーティ形式である。

壇上での挨拶を頼まれている来賓者には席もあるが、俺達みたいな本来なら招かれざる客は、モブに紛れていれば良い。

前に出て喋れないのが残念である。




ローゼリア女王に次ぎ、オルタンスの糞みたいなうだうだ話の後で。

形だけの乾杯をして、ゲロ不味いシャンパンを投げ捨てて新しいグラスをもらった俺達のもとに。

…そいつは、現れた。




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