The previous night of the world revolution
20××年、某月某日。某曜日。

秋の、寒い夜だった。

安アパートの一室で、母親は一人布団の上で、俺を生んだらしい。

誰からも、母親からも、祝福されない誕生だった。

母親は、俺が腹にいるときから俺を疎ましく思っていたらしい。

本当は堕胎したかったが、その金が惜しくて、そのまま自然に流れるのを待っていたが。

なかなかにしぶとかったらしい俺は、流れることなく、ちゃんと生まれてきてしまった。

つまり俺は、誰からも望まれていないのに生まれてきた子供だった訳だ。





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