The previous night of the world revolution
「改めて、こんにちは。帝国騎士団の隊長さん」

僕は胸に隊長であることを示すバッジをつけている。『青薔薇連合会』の人間なら、すぐにそれと分かるだろう。

だからこそ、彼は僕を隊長さん、と呼んだ。

「お偉い帝国騎士団の方が、我々のような地を這う底辺に何の御用で?」

嫌味をたっぷりと込めた口調で、わざとらしく微笑んでくる。

隣の男は呆れたように、はぁ、と溜め息を漏らしていた。

「…『青薔薇連合会』の方々ですね?」

乾いた唇を舐めて、僕は分かっていながらそう尋ねた。

「えぇ、紛れもなく」

「本日は…我々の祝事に、わざわざご足労頂きありがとうございます」

「いえいえ、我々としても帝国騎士団には色々と『お世話に』なっていますから。創始800年の祝いにお呼び頂いて、非常に光栄ですよ」

こちらも負けじと嫌味を少し混ぜたら、それ以上の嫌味で返ってきた。

あくまで、仲良くするつもりはないということか。

望むところだ。こちらも仲良くするつもりなどない。

むしろ、宣戦布告しに来たのだ。

「…単刀直入に言います。『青薔薇連合会』の幹部殿」

「何を?」

布告もせずに攻撃するのは、フェアではない。それは騎士道に反する。

だから、伝える。

「僕はいずれ、この国から全ての非合法組織を排除します。あなた方『青薔薇連合会』もです。足を洗うなら今のうちだと…警告しておきます」

「…」

彼は、無表情で聞いていた。

驚いているようだが、言葉にはなっていなかった。

「あなた方を野放しにすることは、騎士団の『正義』に反する。僕は自身の信じる『正義』の為、『悪』であるあなた方を許しません。一生かかっても、僕はやり遂げます。今日は、それを伝えに来ました」

「…へぇ」

小さく呟いて、黒い男は、にやり、と笑った。

隣の男が焦ったように止めようとしたが、彼は止まらなかった。
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