The previous night of the world revolution

sideルレイア

ーーーーー…ウィルヘルミナを軽く落としてルルシーのもとに戻ると、彼は何故か、微妙な顔をしていた。

「?ルルシー…。どうかしました?」

「いや…。どうもしてないが」

あ、これ嘘だな。

絶対何かあるんだと思うけど、どうやら俺には言いたくないことらしい。

ルルシーが嘘をつくのが下手な訳ではない。ただ、誰より彼を愛してやまないと自負する俺だからこそ、分かることだ。

ルルシーが嘘をついているのは分かるけども。

でも、敢えてそれを俺に隠すということは、俺には知られたくないことなのだ。

多分、言えば俺を傷つけるから。

成程。ルルシーが隠したいことなら、俺が知る必要はない。

「あ、分かった。俺の美的センスに惚れ惚れしてたんでしょー。意地張らなくても着たいなら貸してあげるのに」

「誰が惚れるか。絶対着ないからな」

はぐらかすように茶化すと、ほら、上手く乗ってくれる。

これで良いのだ。俺は100%ルルシーを信用しているのだから、隠し事なんていくつされても構わない。

「さてと。やることもやりましたし、我々はお暇しますか。猿の群れに入ってると俺達まで猿になりそうで怖いですし」

「だから、声が大きいっての」

それに、アシュトーリアさんへの報告事項もあるし?

俺とルルシー、二人の招かれざる客は、きらびやかな祝典の場に唾を吐き捨てるように、黙って出ていった。
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