The previous night of the world revolution
「…私は、反対だ」
「…そうですか」
反対するしかない。反対に決まっている。
だって、そんなことをしてみろ。本当に『青薔薇連合会』を排除しようなんて、そんなことをしたら。
彼らが…いや、彼が、何をするか分からない。
彼は一度、人生を諦めている。いくらでも自暴自棄になれるだろう。
そして、心から帝国騎士団を恨んでいる。
刺し違えてでも、帝国騎士団に致命的な傷を残すだろう。
そうなれば…負けたも同然だ。
喧嘩を売って良い相手ではない。
つまるところ、アドルファス殿と同じだ。
ルシファーが怖いから、手を出すのはやめておこう。
そういうことだ。
「…じゃあ、二番隊の…ルシェ殿はいかがですか?」
ルシェ殿。
その名前を聞いて、私は背筋が冷たくなった。
彼女には、真実を知らせるべきなのではないか?
私はそう思った。誰よりも彼を思うルシェ殿にだけは、真実を知る権利があるのではないか。
けれど。
「…私は、賛成だ」
冷たく、冷徹に言い放った。
何の躊躇いもなく。それが弟の死を望むことと同義だと、分かっていながら。
…どうして。
「このまま放っておけば、『連合会』は帝国騎士団を凌駕するほどの勢力になる。その前に潰すべきだ」
…駄目だ、と思った。
彼女に、真実など話せない。
だって、ルシェ殿は。
彼女は…弟を憎むことを、心の支えとしている。
ルシファーが、復讐を支えとしているように。
ルシェ殿は、ルシファーを失った悲しみを、彼を憎むことで立ち直ったのだ。
ならば、どうやって彼女に真実など伝えられるものか。それは彼女から、心の支えを奪うことだ。
そんなことが出来るはずがなかった。
ルシェ殿が、酷く憐れだった。
オルタンス殿は、彼女のことをどう思っているのだろう。
自分が欺いたが故に、愛していたはずの弟を憎むルシェ殿のことを。
そして私も、同罪だ。
真実を知っていながら、彼女に黙っている私も…。
「…そうですか」
反対するしかない。反対に決まっている。
だって、そんなことをしてみろ。本当に『青薔薇連合会』を排除しようなんて、そんなことをしたら。
彼らが…いや、彼が、何をするか分からない。
彼は一度、人生を諦めている。いくらでも自暴自棄になれるだろう。
そして、心から帝国騎士団を恨んでいる。
刺し違えてでも、帝国騎士団に致命的な傷を残すだろう。
そうなれば…負けたも同然だ。
喧嘩を売って良い相手ではない。
つまるところ、アドルファス殿と同じだ。
ルシファーが怖いから、手を出すのはやめておこう。
そういうことだ。
「…じゃあ、二番隊の…ルシェ殿はいかがですか?」
ルシェ殿。
その名前を聞いて、私は背筋が冷たくなった。
彼女には、真実を知らせるべきなのではないか?
私はそう思った。誰よりも彼を思うルシェ殿にだけは、真実を知る権利があるのではないか。
けれど。
「…私は、賛成だ」
冷たく、冷徹に言い放った。
何の躊躇いもなく。それが弟の死を望むことと同義だと、分かっていながら。
…どうして。
「このまま放っておけば、『連合会』は帝国騎士団を凌駕するほどの勢力になる。その前に潰すべきだ」
…駄目だ、と思った。
彼女に、真実など話せない。
だって、ルシェ殿は。
彼女は…弟を憎むことを、心の支えとしている。
ルシファーが、復讐を支えとしているように。
ルシェ殿は、ルシファーを失った悲しみを、彼を憎むことで立ち直ったのだ。
ならば、どうやって彼女に真実など伝えられるものか。それは彼女から、心の支えを奪うことだ。
そんなことが出来るはずがなかった。
ルシェ殿が、酷く憐れだった。
オルタンス殿は、彼女のことをどう思っているのだろう。
自分が欺いたが故に、愛していたはずの弟を憎むルシェ殿のことを。
そして私も、同罪だ。
真実を知っていながら、彼女に黙っている私も…。