The previous night of the world revolution
孤児院での暮らしは、母親との暮らしと変わらないほどきついものだった。

食事は粗末だし、量も少なく、それなのに収容されている孤児は定員オーバー。

着るものは全て古着。シミや破れがあるのは当たり前。

ベッドすらなく、子供達は毎晩、床に敷いたムシロの上で、ぎゅうぎゅう詰めで雑魚寝させられた。

職員の質も最悪で、子供達を平気で殴ったり、鞭で打ったりした。

一体何処の時代の孤児院だよと思われてしまいそうだが。

この時代でも、そんな孤児院があったのだ。

勿論、こんな孤児院ばかりではない。ルティス帝国は、諸外国と比べれば医療も福祉も格段に高水準で、親元で暮らせない子供達でも国が育てられるように制度を整えている。

つまり、俺が預けられた院が特別に酷かったのだ。

院は国から支給される子供達の養育費を着服し、私腹を肥やしていた訳だ。

それで割を食うのは俺達孤児。最悪な場所だった。

今でも、目を閉じればあの場所が脳裏に浮かぶ。
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