The previous night of the world revolution
ーーーーー。

アシュトーリアさんの、執務室にて。

「どうかしら?ルレイア。帝国騎士団の様子は」

「今のところ大きな動きはないみたいですね。ルーシッドとかいうアホの子は、しつこくマフィア撲滅計画を打ち立ててるみたいですけど、オルタンスが反対してるらしいです。あいつが反対している限りは、実行には移されないでしょう」

と、いうのが。

昨日、ウィルヘルミナと寝たときに、得た情報である。

彼女も複雑な身の上であることだ。お気の毒様。

昨日会ったときも、やつれたような表情をしていた。

間違いなく俺のせいだが、元を正せば帝国騎士団のせいなので、恨むなら、自分の組織の愚かさを恨んでくれ。

「帝国騎士団は多数決制でしょ?誰が反対して、誰が賛成しているのかしら」

「賛成しているのはルーシッドとかいう奴と、五番隊のおっさん、九番隊のおばさん、十番隊のアホ、あとは副団長だそうです。残りが反対派です」

「ということは、五対五なのね」

多数決としては、非常に危うい数字だな。

一人でも反対派が賛成派に回れば、それだけで賛成派の勝利だ。

「一応、そういう場合はオルタンスの意見が優勢になるので、今のところは反対派が勝ってる状況ですね」

「あまりよろしくないわね。何を考えて、五人も賛成しているのか甚だ疑問だわ」

「全くですよ。俺がいない間に、脳みそ腐り出したんですかね、あいつらは」

まぁ、恐らく…副団長とルーシッドとかいうのは、単純に感情で動いているだけなんだろうから、特に脅威ではない。

そもそも賛成派は怖くなんてないのだ。九番隊にせよ、五番隊にせよ、あいつらは旧世代の考えに凝り固まった頑固親父みたいなものだから、やりそうなことは予測が可能だ。

問題は、反対派の奴らだ。

あいつらは賛成派のアホ共とは訳が違う。

彼らには理性がある。考えるだけの頭がある。

今の『青薔薇連合会』に逆らったらただでは済まないことを分かっている。

ルーシッドは適当な皮算用で、『青薔薇連合会』がなくなっても帝国にはさしたる影響はないと言い張っているらしいが。

そんな訳がないし、ついでに俺達が黙ってやられてくれると思ったら大きな間違いだ。

それなりの抵抗・報復はさせてもらう。最悪刺し違えるくらいのことはしてやる。

反対派の連中は、それが分かっているのだ。

俺が本気になったらどういうことになるか、想像出来る頭があるのだ。

頭がある奴を相手にするのは厄介だ。ただ腕力が強いだけの脳筋族なら、いくらでも手玉に取れるのだが。頭がある人間はそうは行かない。

反対派が厄介だというのは、そういう理由だ。
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