The previous night of the world revolution
…とはいえ。

「オルタンスが反対派にいるなら大丈夫でしょう。あの男は、俺がどれだけ脅威であるかをよく知っていますからね」

何せ、俺は真実を知っている。あいつにとっては爆弾も同然だ。

俺がこれを起爆させれば…つまり、世間にばらせば、とんでもないことになると分かっている。

そうなればもう、マフィア撲滅なんて言ってられない。

自分達が撲滅させられかねないのだから。

それ故、尚更オルタンスは俺達に手を出しづらいだろう。実質丸め込んだも同然。

五対五ではあるが、オルタンスがいる以上反対派の方が有利に違いない。

ウィルヘルミナもたらしこんでるしな。

当面は、心配要らないだろう。

…当面は、の話だが。

「何も起きなければ…このまま、反対派が勝つでしょうね」

「…そうですね」

これから状況がどう動くか分からない。

不安材料は、現状五対五であること。

一人でも動けば、賛成多数になってしまうのだ。

もし今、賛成派にとって有利な出来事が起これば…状況は大きく変わる。

とはいえ。

それは、反対派にとっても言えることだ。

「まぁ、とにかく今考えても仕方ないわ。ウィルヘルミナに探りは入れておいてちょうだい」

勿論、俺だってそのつもりだ。

「了解です」

「頼りにしてるわ、ルレイア。私に何かあったときは、あなたに後を継いでもらいたいわね」

「ご冗談を。俺はそんな器じゃありませんよ」

そのときは、是非ともアイズレンシアに全てを託したいところだ。

それに。

「…そんなことにはさせません。俺の命を懸けて」

ここは、俺の居場所なのだ。

アシュトーリアさんも含めて、俺の家族なのだ。

誰一人、失わせることはしない。

「そうね。お願いね、ルレイア」

「はい」

今や、ここが俺の『正義』なのだ。

何としても。どんな汚いことをしても。誰が邪魔をしてこようと。

絶対に、守り抜く。

俺には、その決意があった。
< 581 / 626 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop