The previous night of the world revolution

sideルルシー

ーーーーー…。

もう、何度も思ったことだけど。

「るーるしー」

「…」

「見てください、この爪~。素敵でしょ?」

「…あー…」

素敵なのか。素敵なのかそれは。

相変わらず、爪にごてごてつけよって。

それだけ色んなものを爪につけてたら、不便じゃないか?

あちこちに引っ掛かりそうだ。

…いや、そんなことはどうでも良い。

何故こいつはいつもいつもいつも、俺の執務室に暇潰しに来るのか。

ルレイアが来たというとは、この後示し合わせたように、アイズやらアリューシャやら、果てはシュノまでが来るんだろう?

俺の部屋はオフィス街の居酒屋か何かか?

「…帰れ。ルレイア」

「えー?」

「俺は忙しいんだ。お前達の相手をしている暇はない」

「お前達って。俺しかいないじゃないですか」

この後お前の愉快な仲間達が来ることは分かってるんだよ。

全員来たら追い返せないから、ルレイアを先に追い返しておきたい。

しかもこいつら質の悪いことに、勝手にやって来て俺の仕事を妨害した挙げ句、今夜は何々が食べたいなーとか、勝手なことを言い出すのだ。

いい加減自炊をしろ、自炊を。

「ルレイアは俺のこと嫌いですか?」

「嫌いじゃない。嫌いじゃないけど仕事の邪魔をしてくれるな」

「ありがとうございます。俺もルルシーのこと好きですよ」

話が噛み合ってない。

「だから、何でもあなたに一番に聞いてもらいたいし、見てもらいたいんです。今日のネイルも素敵でしょう?」

「分かった。素敵素敵。素敵だから帰れ」

「ルルシーもネイルしてみれば良いのに。何なら俺が紹介しましょうか?」

「結構だ」

俺は爪をごてごて飾る趣味はない。

それよりルレイアを早く追い出さなければ。

「それにしてもこの間の、『ポテサラーズ』のライブ、良かったですねぇ。生で聴くとやっぱり違いますね」

「あー…。うん。そうだな」

先日、俺はルレイアとアリューシャのイチオシバンド、『ポテサラーズ』のライブに強制連行された。

俺は行くなんて一言も言ってないのに、勝手にチケットを取られ、当日、仕事をしようとする俺を無理矢理車に押し込んで、連れていかれたのだ。

俺は仕事が、と言いかけたが、「アシュトーリアさんに休暇もらいましたよ?」とか言われ。

そんなの聞いてない。いつの間に、と言う間もなく会場に連行された。

アシュトーリアさんも公認なら、もう抵抗は出来なかった。

あの人のことだから、「皆でライブ行くんで幹部組に休暇ください」というふざけた申し出に、微笑ましいわねうふふ、とあっさり許可を出したのだろう。その姿が目に浮かぶ。

全く、止めてくれれば良いものを…。

そんな訳で、俺はライブに連れていかれてしまった。
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