The previous night of the world revolution
渋々ではあったが、まぁ、ライブ自体は良かった。

ライブ会場に訪れた人はほとんどが表の社会の人間ばかりなので、裏社会の俺達は本来、肩身の狭い思いをしなければならないはずなのに。

ルレイアは相変わらず派手ファッションで身を固めているので、悪目立ちして仕方なかった。

ライブ会場で買った『ポテサラーズ』の直筆サイン入りポスターは、今も俺の執務室の壁にでかでかと飾ってある。

俺が飾ったんじゃない。ルレイアが勝手に貼ったのだ。

剥がそうとしたら怒られた。何で外すんですか、と。

何でも何も、お前はそもそも何で俺の部屋にこんなものを貼ったんだ?

明らかにルレイアの主張の方がおかしいだろうと、アイズやアリューシャに同意を求めてみたが。

それはいけない、ルレイアが正しいよ、と真面目な顔をして言われ。

そうか、こいつら皆頭がおかしいんだと思って、放置することにした。

お陰で俺の執務室に入った人間は、もれなく俺が『ポテサラーズ』のファンであると誤解して帰ることになってしまった。

どうしてくれるんだ。

「また行きましょうね、ライブ」

「分かった。分かったから帰れって」

ここで行かない、一人で行け、なんて言ったら口を尖らせて文句を言うに決まっているので。

とにかくルレイアを追い出すことを優先させる。

「あ、そうだ。俺この間、シュノさんとハリネズミカフェに行ってきたんですよ~。いやぁ、色んなハリネズミがいるけど、やっぱりうちのルーさんが一番可愛いですねぇ」

そんなカフェがあるのか?広いな、世の中って。

と言うかお前、相変わらずシュノと仲が良いな。

それは良いことだが、とにかくかえ、

「やっほー、ルル公。来たぜー」

「邪魔するよ、ルルシー」

「…」

…来てしまった。

追い返す前に、アイズ、アリューシャ、そしてシュノが合流してしまった。

「あ、皆さんいらっしゃい。遅かったですねー」

何がいらっしゃい、だルレイア。お前の部屋じゃないぞ。

駄目だ…。今日も追い出せなかった。

全員揃ってしまったからには、もう諦めるしかなかった。
< 583 / 626 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop