The previous night of the world revolution
「ほら」

「…うわぁ…」

露骨に嫌そうな顔をするな。

自分の分と合わせて、食べ物が山盛り乗った皿を二枚、テーブルに置く。

加えて、カップに入れた野菜スープを二つ。

「これ、半分はお前のノルマだからな」

「…しかも蛋白質ばっかり…」

「当たり前だ」

ルシファーのノルマの方は、しこたま蛋白質を盛った。

ベーコン、ソーセージ、サラダチキン、フライドフィッシュ、その他。

さすが男所帯の学生食堂。朝から蛋白質の料理をたくさん用意している。

皿の端の方に、申し訳程度にサラダを盛ってやったのは情けという奴だ。

「こんなに食べれませんよ…」

「文句を言うな。飽食の時代に歓喜の涙を流しながら食え」

「…」

ルシファーはしばらく皿と睨めっこしていたが、俺が監視しているものだから…。やがて観念して、ゆっくり食べ始めた。

そう。それで良い。

ルシファーはゆっくりゆっくり、苦手らしい蛋白質をもぐもぐ平らげていった。

あまりゆっくりだから、俺の方が先に食べ終えてやることがなくなってしまった。

「…コーヒーでも取ってこようか?」

「…紅茶でお願い出来ますか」

「分かった」

暇になったから、俺はルシファーの為に紅茶を取ってきた。

ちなみに飲み物も、セルフサービスだ。

至れり尽くせりだな。

「はい、紅茶」

「…どうも」

紅茶のカップを持ってきて渡すと、ルシファーはカップを取り、少しだけ紅茶を啜った。

そして、まだ半分は残ったままの朝食の皿をじっと見つめ。

「…ルキハさん」

「あん?」

「…量が多過ぎます」

かなり、切実な声だった。

これには、俺も多少折れざるを得なかった。

「…仕方ない」

食べ物を粗末にするという選択肢は俺にはないから。

ルシファーに協力して、綺麗に完食した。

お陰で、俺まで食べ過ぎてしまった。
< 98 / 626 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop