The previous night of the world revolution
放課後。

もういじめはなくなったはずなのに、ルシファーは相変わらず、教室でぽつんと時間を潰していた。

そして俺は、そんなルシファーに絡んでいた。

「お前、真っ直ぐ寮に帰らないんだな。まだ何か陰湿なことされてるのか?」

「…別にされてませんけど、ルームメイトと顔を会わせるのが気まずいので…」

「そうか…」

…まぁ、あんなことがあれば仕方ないか。

「心配するな。もう少ししたら、あいつらも卒業だ。卒業したところで帝国騎士団が採用してくれるのかは知らないが、いずれにしてもいなくなるのは確定なんだから。あと少しの辛抱だ」

「そうですね…」

あんなクズ共でも、騎士官学校を出れば騎士団内でそれなりの地位に就けるんだろう?何か間違ってるよな。

あんな馬鹿でも騎士になれるなら、アリューシャだって立派な帝国騎士になれそうだ。

「そんなに帰りづらいなら、せめて図書室とか…。あ、俺の部屋にでも来るか?うちのルームメイトは放課後遅くまで稽古場か、他の寮生の部屋に入り浸ってるから、基本空いてるぞ」

「あ、いや…それは」

「でも、こんなところにいても暇じゃないか?」

「…暇ですけど」

やはりな。

とはいえルシファーにも、思うところがあるのだろう。

「分かった。じゃあせめて、ここで一緒に宿題でもしよう。お前頭良いから、先生役な」

で、俺が生徒役。正しい配役だ。

俺は今日出されたばかりの宿題に取り掛かろうと、問題集をルシファーの机の上に広げた。

すると。

「…あの、ルキハさん」

「ん?」

「…何で、俺なんですか?」

…何で、だって?

「お前の方が頭良いだろ?」

他に理由なんてものがあるか。

しかしルシファーが聞きたいのは、そうではないらしかった。

「そうじゃなくて…。その、どうして…俺に付きまとうんですか?」

「…」

…付きまとう、と来たか。

「…迷惑だったか?」

俺がルシファーと仲良くなりたいと思ってるほど、彼は俺と仲良くなりたくはないか。

今までずっと一人だったから、余計に。

「迷惑じゃないです…。でも、どうして、俺なんだろうって…」

「…」

やはり、あのN室のクズ共は許しがたい。

この男を、こんなにも自尊心の低い人間にしてしまったのだから。
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