センパイ。
杏樹side


「お邪魔しまーす」


今日も俺は月希ちゃんの家に来た。


「ごめんなさいね、毎日毎日…」


月希ちゃんのお母さんが言う。


「いえ、これくらいしかできなくて…」


コンコン。


「月希、杏樹くん来てくれたわよ」


ガチャ。


「じゃあ、ごゆっくり」


そう言ってお母さんはリビングに戻った。


「ご、ごめんなさい、しまいわすれた…」


慌てて血のついたカッターやティッシュを片付ける月希ちゃん。


「いいよ、気にしないで」

「汚いんで置いといてください」

「汚くなんかないよ」


そう言って俺も手伝う。


「今日さ…」


俺はバイトであったことなど、他愛も無い話を少しして帰る。

そんな毎日を送っていた。
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