センパイ。

3学期が始まり、あっという間にもう3年生が卒業していく。

自然と卒業ソングが思い浮かぶ。

思い浮かんだメロディーや歌詞はすぐにメモする。

あれから杏樹さんとは手すら繋いでいない。

ほんとに大事にしてくれてるんだろうなぁ。

杏樹さんは音楽をもっと学びたいということで音大へ行く。

こうやって毎日顔を合わせる事も無くなるんだと思うと寂しい。


「ごめん、待った?」


杏樹さんと帰る毎日。

いつもあたしの少し前を歩く杏樹さん。


「ん?どうしたの?」


あたしは杏樹さんの袖口を引いてみる。


「手...繋いでもいいですか?」

「いいよ」


手を繋いで帰る。

それだけなのになんだか嬉しくて。
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