センパイ。

杏樹side


今日は大学の入学式。

俺は今月希ちゃんの家に居る。


「あらー、杏樹くんスーツ似合うわね」

「そうですか?」


俺らはもう親公認で、よくお互いの家を行き来している。

だがしかし...!

まだヤってない...ハグすらしたことない。

俺がこんなに女の子に手を出さないなんて...!


「杏樹さんちょっと来て」

「ん?」


月希ちゃんに呼ばれ、部屋に行く。


「しゃがんで」


俺は言われるがまま、しゃがむ。


チクッ。


ゆっくり月希ちゃんの顔が俺の首元に近付き、チクッと軽い痛みがした。


「え...え!?!?」


俺はびっくりして鏡を見る。

首元に赤いあざ。


「ちょ、ちょっと、どこでこんなこと覚えたの!?」

「へへ、変な女が近付かないようにマーキング」


イタズラに笑う月希ちゃん。

俺は月希ちゃんの手を取り床に押し倒した。


「月希ちゃん、あんまりらからかうと俺も男だよ?」


顔を真っ赤にする月希ちゃん。


「なーんてね、お返し」


俺は起き上がろうとした。

するとネクタイを引っ張られ、唇に冷たい感触。

お互いのリップのピアスがカチッと音が鳴る。

キ、キスされた!?


「すきです」

「待って、反則」


俺は抱きしめた。

入学式なのでそこまでにして、俺は家を出た。
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