マフィアの弾丸 Ⅳ
『ちょっと』?!
何という、語弊のある言い草!!!
アレが『ちょっと』だと!?
そんなんで終わると思ってんのかコイツは!?!
っ人が、ひとが気にしている事を(特に)この男は平然と口にしくさって
ホントにっっ!!!
露骨に『股間』とか『腰立たなくなる』とか、リアリティを連想するような発言、やめてくれないか
私、女なんですけども?
貴方たちの、所謂その、男子生徒同士のノリと言われるヤツについていける程の器量も、経験も
もち合わせて無いんですけど?!?
____…そんな含みもこめて、ぷくぅっ。と頬に空気を入れ
黙々とむくれていれば。
それを、覗きこむように顔を近づけてきた、猛烈に美しい男がまたもや、
「ナンだその面」と悪態吐きつつ
グワシッ。
私の顎を引っ掴み
顔の向きを変えさせたのである。
「っ、」
「車からこの敷地からこの部屋までてめぇを運んでやったの誰だと思ってんだ?あ?」
「っちゃ、____ぶっ」
「お前ぇが足腰立たねぇっつぅーからおれ自らがわざわざ、抱いてやったンだろ。感謝シロ」
「…」
────…そう、そうなのである。
結局、車内でのーー………、ぅん。
…モニョモニョ、……以降、自宅に帰してはくれなかった彼ら。
私は流されるまま大人しく、このバカでかい邸宅まで連行されてしまい。
しかし、いざ車内から降りようと動こうにも足下が、(────否アレは、足腰と言うのだろうが)ふらふら〜っと覚束ず立ち上がれなかったワケで。
あの瞬間・・・・・死にたい気分だった、
羞恥心で、・・・・どうにかなりそうだった。
なぜか?と自問自答するに及ばず。
この、ムダに顔面偏差値最高級の男たちに、あらぬコトをされたせいだ。
初っ端から、あんな、
・・・あんなっっ醜態を!!
ワナワナ、と怒りやら羞恥やら悶絶やらで忙しい脳内とは裏腹。
じぶんの体なのに腰はまったく機能せず、気怠くて、力が入らない私をその、純銀の流し目で一瞥したアーウェイさんは、
些か呆れたように『何だお前、一丁前に腰砕けてンのかあの程度で』などと。
それはソレはもう、あけすけに、露骨に仰るもんだからコチラとしては赤面もの事態だ。
結果、彼に抱えられいつぞやにもお世話になったクッション付きソファーに
下ろしてもらった事由。
・・・・・抱えられた?
否、あれは抱きかかえられて、と表現するよりは、たった片腕だけで俵のように担いで運んでくれた。と形容するほうが正しいかもしれない。