うみに溺れる。
空人の分のプリントを貰って、メールを確認すると未だ未読のまま。
追いメールを送るのもなんだか癪だからそのままアプリを閉じた。
朱莉と別れた後、いつも通り海を見ながら空人の家へと向かった。
「あっ、海ちゃん」
インターホンを鳴らして出て来たのは空人ではなく、空人のお父さんだった。
「久しぶりだね。どうしたの?」
「あ、空人にプリントを」
「あぁ!そっかそっか。わざわざありがとう」
ファイルから空人の分のプリントを出しておじさんに渡した。
空人の家はお母さんが単身赴任中でお父さんとユキチと3人暮らしだ。
お母さんはたまに帰ってきているようで、空人と一緒にユキチの散歩をしているのを見かけた事がある。
「今日、空人は?」
「ん?あぁ、ちょっと体調崩しちゃってるみたいでさ」
ごめんね、と苦笑いのおじさんに少し違和感を感じつつも体調が悪いならと「お大事に」と言ってそのまま帰った。