うみに溺れる。
「……俺にとっても雫玖の存在はでかかったわ」
「…」
「一回忌、普通に行けるわけねぇだろ。お前だけ楽しやがって馬鹿」
「ごめん、」
幼なじみの誰も来なかったら、きっと雫玖は寂しい思いをするからと空人は行ってくれたらしい。
「まぁでも、何も言わずに休んで悪かったな」
「いいよ、もう」
「……」
「何?どうしたの?」
久しぶりに見た、空人の弱々しい姿。
私の前では強がって、なんとか保っているようだけど。
「……俺らにとって雫玖って、居るべき存在だったんだなって、」
居なくなって初めてその存在の大切さを知る、ってよく言うけど本当にその通りで。
私だけじゃなくて、空人も無意識に雫玖を探していたんだと気付いた。
当たり前の日常がいつまでも続いていくと誰でも思ってる。
まさか、さっきまで話していた人が、昨日一緒にいた人が、なんて誰も考えないだろう。