うみに溺れる。


「……無理だろ、」

「…何が、」

「なんで、海と付き合う過程で俺に一言もなかったわけ?」

「それは、」

「なんで俺がこんな気持ちになんなきゃいけねぇんだよ、」

「空人、待って、」

「っ、触んな。もう二度とお前の顔見たくしねぇし口もききたくねぇ」


俺達の空気に気付いたユキチがクゥン、と切なく鳴いた。
心配しているのか、俺の手をぺろぺろと舐めている。

雫玖の手を振り払った手がヒリヒリと痛んだ。

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