うみに溺れる。
翌日、流石に言い過ぎたと思って雫玖の家へと向かった。
何も連絡してないし、居ないかもしれないけど。
「ごめんなさいね、今さっき出掛けちゃったの」
「いや、俺も何も言ってなかったから大丈夫!」
「そう?多分いつもみたいに海辺の方に居ると思うんだけど…」
「行ってみます!」
案の定、雫玖は家に居なかった。
雫玖の行く所なんて大体検討はついている。
海の家か俺の家か海か。
高校の奴らとは仲良さそうにしているのに、雫玖はそいつらと“それ以上の仲”になりたがらない。
坂道を下っていくといつもの通学路が見える大通りに出た。
橋の上から浜辺を見渡しても、この季節のせいで人なんか誰1人もいない。
だから多分、ここに居るなら分かりやすいと思ったけど……。
「いた、」
急いで橋の横の階段から浜辺に下りて、一瞬だけ見えた雫玖の背中を追った。