うみに溺れる。
***


「おーい、空人ー」

「……」

「遅刻するぞー」

「……」

「空人ー?」


階段を大きな足音を立てて上ってきた父さんは俺の部屋に遠慮なく入って来た。

うちは母さんが働いて父さんが専業主夫として分担されている。
母さんは単身赴任中で父さんとはほぼ2人暮らしのような生活だった。

自分で言うのもなんだが、俺はまだ高校生になったばかりの多感な…つまり思春期真っ只中でデリケートな時期なのにこの親父は基本的にデリカシーなくズケズケと干渉してくるのだ。

俺が娘ではなく息子であったことに感謝すべきだと思う。


「んだよ、」

「何だよじゃないわ。もう8時だけど、遅刻だろ」

「……今日は休む」

「はぁ?体調悪いわけじゃないんだろ。甘えた事言うな!」

「キツいんだってば、」

「はいはい。朝飯出来てるから、さっさと食って学校に行く準備しろ。送ってってやるから」


こんのクソ親父。
こいつは察するとかいう行動が出来ないのか?
いや、元々備え付けられてないのか?

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