うみに溺れる。
母さんはなんでこんな男を選んだんだとイライラしながら1階へと駆け下りた。
制服に着替え、スマホを見ると海からメールが来ていた。
《今日学校休むの?やっぱり具合悪かった?》
海はなんだかんだこうして優しいところがある。
今はなんて返したらいいのか、そもそも返信していいのかも分からなかった。
多分、俺が送ったそれは雫玖に共有されるから。
結局既読だけ付けて返信しないという選択肢を選んだ。
無理矢理父さんに学校へ連れて行かれた俺は不貞腐れながらも内心鳴り止まない心臓を抱えて校内へ入った。
ちょうど休み時間だったのか、海は廊下で雫玖と話していたようで俺の姿を見つけた海は駆け寄ってきた。
「空人!来て大丈夫なの?」
「……おー、まぁな」
「何、なんかあった?」
普段鈍感な癖にこういう時は鋭く異変に気付く。
「別に」
貴女の隣にいる彼氏からの視線が怖いんです、なんて言えるはずがない。
自業自得だし。
「……空人、あのさ」
「あー、次何限?英語?教科書取ってくるわ」
「あ、うん、」