うみに溺れる。
一人一人並べられたロッカーの前に立ってため息をついた。
こんな事になるならこの気持ちに気付きたくなかった。
「空人」
暖房が効いた教室が急に冷えた気がした。
俺の名前を呼んだのは誰でもない雫玖だった。
「な、に…」
「放課後話したい事があるんだけど」
「…話したい事?」
「別にいつでもいいから時間作ってくれない?」
「あ、うん…」
「空いてる日分かったらメールして」
冷ややかな視線と声で淡々と告げた雫玖はそれ以上何も言わずに教室を出て行った。
正直雫玖と向き合うのが怖い。
俺は多分謝る事しか出来ないし、今更、……今更縁を切るなんて事を言われたら。
いや、それはもう仕方ない事だろう。