うみに溺れる。
照明灯に照らされて見える雫玖の表情が暗く切ない。
なんて声をかけたらいいのか分からないまま雫玖は話を続けた。
「僕が先に告白したから。これに尽きるよ」
「何言ってんだよ、」
「まぁ本人は気付いてないみたいだけど」
へらっと笑って見せた雫玖の腕に手を伸ばして掴んだ。
「……痛いよ、何?」
「ぁ、いや、……ごめん」
「…………また消えそうだった?僕」
「……」
目を離した隙に消えてなくなりそう。
しっかり掴んでおかないと、とつい思ってしまう。
「それに僕知ってたんだよ、空人が海の事好きなの」
「はっ?」
「空人も海の事馬鹿に出来ないくらい鈍感だよね」
ふふ、と笑われて鳥肌が立った。
「いつから、」
「昔から僕は気付いてたよ。あぁ、空人も海の事好きなんだろうなぁって」
「雫玖、」
そして、綺麗な顔立ちのまま雫玖は俺の顔を見て不自然なくらいにっこりと笑顔を作った。