うみに溺れる。
Ⅱ
修学旅行
「海、早くご飯食べちゃって!」
「何、どっか行くの?」
「お父さんが忘れ物しちゃったって、お母さんこれ届けに行かなきゃ」
「いいよ、もう行ってきたら?」
「そう?じゃあ食べ終わったお皿水につけといてね。あ、戸締りしっかりして家を出る事!」
「分かってるってば」
テーブルに準備された朝ごはんのトーストにバターを塗って齧り付く。
テレビで流れるニュースの合間に今日の占いが始まって私は5位だと言われた。
可もなく不可もなく、そんな毎日が最近は続いていた。
「じゃあ頼んだわよ!」
「はぁい、行ってらっしゃーい」
……あの日から空人とは一言も言葉を交わしていない。
朝迎えに来る事が無くなって、教室でも話しかけられる事も無くなった。
クラスメイトはそんな私達の空気に気付いているようだったけど何も言わずに今ではそれが当たり前になった。